月と蜘蛛 | HOODのブログ

月と蜘蛛

HOODのブログ-110912_2013~0001.jpg

HOODのブログ-110911_1802~0001.jpg

昨夜の満月は見事だった。旧暦八月十五日に満月が当たるというのは六年ぶりらしいのだ。

深夜、蒼く光る月に照らされる街並みを眺めた人は少なからず…であろう。

私事ながら右肩関節に異常が見つかり、今月は、いささか鬱気味に過ごしていた。鬱気味というより『怠惰』であった。
重く固まった肩は、薬効が消える時間になると痛む、むろんボールを投げる、竹刀を振るなども無理だった。
撮影機材を持つ腕には力入らず…全てが億劫。

このままでは写真撮影に対する覇気まで消失する…人の行動力とは、つまり戦闘能力に近い。餌を取る作業が危ぶまれる事は動物においては『死』だ。

どんな仕事というものは、必ずリスクがある。しかし、そのリスクを依頼主に負わせてはならない。
注文依頼を受けて成立する世界である以上は、全てに『言い訳』は皆無なのである。

満月が上がる少し前の夕暮れ、一匹のオニグモが天空を歩くように巣を張っていた。
サワサワと空を歩く八本の足が忙しさを増す。
『…ようやく待ちわびた満月。月の光に誘われて空舞う虫達を今宵は沢山捕まえようぞ…』

蜘蛛はサワサワと空に巣を張り続ける。
いや、次の瞬間に鳥に自身も食われてしまうかも知れない。それでも、今を見つめて巣を営むのだ。