猫と人
これはトンデモ学説かも知れないのだが、犬は人間が選んで飼い、猫は人間を選んで自ら飼われている…という解釈があるそうだ。
また何かと犬は吉とされ、猫は凶と見なされる。
昔話には、長らく生きた猫が踊るのを見る、というのがあって江戸時代ワイド記事集である『耳袋』や『甲子夜話』にあるらしい。
他にも、人の話を理解するとか、人の言葉を話したなどの言い伝えもある。
私も以前、猫と暮らしてみた経験から判った事が幾つかある。
①『襖や戸を開ける』…深夜、外から帰ってきた猫が座敷の襖を開けて居間へ入ってくる。ガタッ、バタッ…ゴトリと木戸やガラス戸を開けて、やがて座敷の襖が開く。
猫が枕元を歩き回る気配がする。
このヒタヒタ感が、何とも言えず、なま暖かい息を吐きながら、こちらの布団の中に潜り込もうとする。
昼間に猫が立ち上がり、戸や襖を前足で開ける姿を見ていると、ちょっと『化け物』めいた印象があった。
『人の言葉が判るらしい』家で飼っていた猫の大好物は雀であった。
自分が好きだから、飼い主も食べるに違いない…そう考えた猫は、朝目覚めると私の寝ている枕元に雀を献上してゆく。
古い家だったので、ネズミの被害があり母が『おまえ、雀ではなくネズミは取らないのかい?』と嫌みを言い浴びせると、プイと後ろを向いてしまう。
で、翌朝…母の悲鳴で目が覚める。
その枕元に『ネズミの死骸』がポイッと置いてあるのだ。
その横で、猫は何食わぬ顔をして毛並みを繕っている。明らかな意趣返しなのであった。
