歌舞伎を見ていた頃
書棚を整理していたところ学生時代に入手した『文藝春秋デラックス…古典の魅力歌舞伎の楽しさ』を発見。
実は十代の一時期に、私は歌舞伎が大好きだった時代がある。
当時、私は惜しまれて早世した尾上辰之助のファンで、彼が展開する歌舞伎の演技表現や、役者としての器量に魅せられていたものだ。
この本によれば尾上辰之助は昭和21年東京生まれとある。もし、健在ならば今年で65歳…たぶん尾上松緑を襲名して名優の名を響かせていただろうか。
私の歌舞伎に対する興味と関心は、辰之助の芝居から印象を得たというのが、やはり正直なところだ。
そういえば、学生時代からの古い知人の一人に『ワタシは中村歌右衞門命~!』みたいな方がいる。
その凄まじい熱烈な追っかけぶりには、いつも圧倒されたが歌舞伎にはそういう病を呼び覚ます『毒』があるのだ。
(能楽にはそういう毒は少ないが…能は憑き物であって、取り付かれると毒のように安易には抜けないよ…。)
私が、その『毒』に染まる前に尾上辰之助が去ってしまい、この本も書棚の堆肥状態へ。
冊子を久しぶりに手にしたまま、今は鬼籍となってしまった役者達の舞台写真を見、今では見たくても叶わない芝居が沢山あったことを、今更ながら悔やんでみる。
