古びた器 | HOODのブログ

古びた器

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親子三代で使われた変哲もない鉈彫りの菓子用小皿。大正中期、父方の祖母が買った嫁入り道具の一つだったと思われる。
戦前から戦後、何故か捨てられる事なく、今日に至る。
二束三文以下の器だが、私家的に百年近く歳月を渡ったという価値だけはあろう。
一つの道具や器などを何代にも渡って使い続けるという事は、名物の茶道具なら聞く話だが、日常に用いる品では近年は稀になった。

少し前、薪で炊く風呂を使っていた頃、古びて壊れた木製品等は鉈で割って焚きさしに使ったりして、その役目を終えたものだ。
(私は薪での風呂焚きが得意)

こうした道具類は、何かの使う人間達に生活や感情の変化があると、その時期から家の押入の中や、棚の奥深くに姿を隠す。
そうして、数十年以上の眠りに付いていたりする。道具にも意志や魂があるのか…と思えたりする。

そして、突然に何かの言葉を語りかけるように、ずっと使われていた顔をして、姿を見せたりする。