大洗磯前神社
実家より足を伸ばして、茨城の景勝地でもある大洗磯前神社へ参拝した。
磯が連なる海岸より立ち上がる急な丘の上に建立されていて、まさに県内有数の社である。
しかし、今回の震災による津波は、この参道下に見える海岸やホテルロビーを波に洗い、避難する人々は息ついて、このそびえる参道の階段を駆け上がったと聞く。
おおよそ海岸近くにある寺社は、過去の災害経験に基づいて陸地高台にあるようだ。沖から参拝可能という必要もあるだろうが、海を見渡せる絶好の立地を選ぶ場所が多い。
この大洗磯前神社は先年まで薪能が主催されてきた。
夜半、海岸の風や海にかかる月など静かな薪能として趣深い公演であった。不況や震災で今後の予定など白紙状態と伝えられたが、是非復活して欲しいと願う。
付近の大型ホテルや水族館、料亭旅館、北海道釧路とを連絡する港なども、震災以降は活気が失せている。人々の表情に元気がなく、被災地の様相が伺える。
海が本当に復活するまで辛抱とは言え、その長い道のりは険しい。
