伊勢物語三十七段
最近、ずっと伊勢物語を読み続けてい、ちょっと面白い段がありました。
伊勢物語三十七段
昔、をとこ、色好みなりける女に逢へけり。うしろめたくや思ひけむ、
われならで下紐とくなあさがおの夕影またぬ花にはありとも
返し、
二人してむすびし紐をひとりしてあひ見るまでは解かじとぞ思ふ
穏やかなエロスとファンタジーに満ちていて、互いの『性の喜び』が幾度も回帰していますね。
おそらく、能『井筒』『野宮』『定家』なども、歌の世界からエロスを抽出して展開した男女の追想だと思います。
実際の睦言がどうか、リアルさよりも脳内妄想が優先されているように感じます。
その上で、本質にある肉体の快楽を否定せず容認している表現を、巧みに言葉に置き換えている。
明治以降、近現代の教条的な文学解釈に比較して、人間への幅が肯定されていて、元々は日本古来の美意識…性意識ではないのかな…と思ったりします。
