私の汚部屋ボロアパートの前、民家の庭に『梅もどき』だろうか、この季節に赤い実を付ける庭木がある。
そして冬のある日、街中の鶫が集まってくるのだ。
一日がかりで実を食べ尽くして去ってゆく。
この実を鳥が食べ終わると、やがて関東地方や都内には雪が降るようだ。
私は、この都会の雪景色が見せる寂しさが、何より好きである。
幼い時から、私は都会は『死』を強く意識する場所と感じていたからであろう。
雪模様に沈むビル群が果てしない墓標に見えるときがある。
それなのに、墓地のような都会の雪景色に、愛しいくらいの美しさを感じてしまうのだ。