能『安宅』
一昨日は、明日行われる能公演の申し合わせの様子を撮影しておりました。
能『安宅』
義経記による源義経と富樫某との心理的格闘と最大の見せ場とする。
何より立ち衆を連ねて、華やかに展開する演劇性に富んだ能の一つ。
この立ち衆をシテ方が演じますが、ある意味で集合写真的に各人の立ち位置が、意外と難しいようです。
集団で見せ場を作る作業は、一人舞台の多い能としては希有であり、日頃の稽古にはない舞台なのだと思われる。
事の露見を避けようとする弁慶と厄介者になりかけている義経、ワサワサと五月蠅いだけの義経の家来達、何より富樫という人物の『確信犯的ウケ狙い』と、入らぬお節介ぶりが弁慶を悩まします。
『勧進帳はあらばこそ…』ないものを、あるように読み上げる弁慶の腹芸…ウソを真実に変える、そこに追いつめられた一行の緊迫した心理が集約されてきます。
歌舞伎ならば、富樫&弁慶の有名なシーン。
『はっ…!』
弁慶のウソを見破ったと思われる富樫は、なぜ見逃したばかりか、一行を追いかけてきて酒まで勧めるのか?
それは時代の趨勢や権力側から取り残された者同士が、互いに共有するペーソス…『悲しい笑い』かも知れません。
その『おかしみ』を、私は能『安宅』の展開に感じたりします。
代々木果超会別会
12月19日
国立能楽堂
正午開演
能安宅、羽衣、道成寺等。
チケット全席完売。
