扇子
左が梅若会様式の松と松葉、右が観世会様式の観世水…骨の透かし彫刻に違いがある。しかし、現在も相違があるのかは不明。
足袋、襟止め…と続いたら、次は扇子である。
この辺りから、総じて次第に『お道具自慢』になりがちである。
写メは、山口直知演能五十年記念 と記された銀地に白菊の舞扇。
十年以上前、飯田橋の骨董市で見つけた、言い値は…何と『百円』だった。
しかも、戦中戦後の隠れた名手として名高い山口直知の記念扇だ。
故山口師の舞台を、私は直接みた経験ないのだが、幾多の能評家や能楽師の芸談でも人間性も含めて、とても愛された方らしい。
私は心の喜びを隠しながら、一枚の百円玉を投げつけるように市の主人に手渡すと、その場から逃げるように立ち去った。
この扇、しばらくはサークル備品として使用されていて、貴重な舞台用扇であったが、さすがに古びてしまい、私の手元に戻ってきた。
舞台に使うには痛みもあるので、たまに師範稽古に用いている。

