能『道明寺』
都内の山門と銀杏
明日、午後6時半開演…鐵仙会能楽研修所。
能『道明寺』清水寛二、西村高夫。
木患子(むくろじ…竜眼、ライチの仲間)の樹木が能の起点となる展開。中世の風流から近世の風物的な移動を詞章に感じる。
まさに希曲な能であるが、私は全く未見の能であるため見解を持たない。
舞事の『楽』を交えた構成や興味深い小書きなど、我々が普通イメージしている世阿弥的な幽玄能とは異なる舞台なのだ。
いや、実際は世阿弥の能が、当初から異色だったのかも知れない。
…むくろじの実を縁起物として身につけると良いらしいぞ…そういう宣伝も、能の中でやっている。
…あの梢の木の実こそ。この数珠の御法(みのり)なれ…。
実と御の言葉を掛けている、そんなコマーシャル的な『言葉遊び』も、当時は最大の宣伝媒体の一つであった能ならでは主眼だろう。
様々な舞事の楽しさや、どこか荒唐無稽な感覚こそが気楽に楽しむ要素であり、そういう『緩さ』も能が有する一つの形態だと思うのだ。
楽しく見せる能だと、私は勝手に想像しているが是非、お運びください。
