能楽堂内の騒音
昨日は一日終日撮影であった。
能番組三番撮影というのは、結構な疲労も伴う。何より昼食など取る時間的余裕がないのだ。
見ているお客様も、最後まで付き合うというのは大変であろう。
能楽堂の見所は、概して長時間の観能に耐えるほど居心地は良くない。
まずシートが良くない。腰の悪い人には苦痛であろうし、老人の多い客席には不適である。
リクライニングまで…とは言わないが、せめて椅子幅に余裕が欲しい。
能三番を全部見なくてもいいよ…という考えもあるが、安くはないチケット代を考慮すれば、将来的には対策が必要だろう。
観客側の問題もある。
遅刻して入場する方々、そして携帯の音である。遅刻は、交通機関の都合や諸事情を加味する必要がある。
しかし、能という演劇は舞台以外で発生する他の音を非常に嫌う。非日常的支配が強い世界という証明かも知れないが、時に携帯のバイブ音でさえスポイルされる場であろう。
それでもマナーモードのバイブ音まで規制しては、携帯電話の意味をなさないであろう…と、あえて百歩譲って、着信音は消して能を楽しまれたら…と思う。
以前、能『隅田川』のワキ語りシーンで、♪~♪と流れた音は大変に困惑した記憶がある。
能と騒音問題という点では、写真撮影者のシャッタレリーズ音も『騒音』だと認識している。
撮影者は仕事であるからこそ、常に自戒を込めて職に臨みたいものだ。
プロという存在とはギャラだけで決定するものではなく、全ての責任を必要とするものだ…そこが趣味とは決定的に違うと私は解釈している。
