透明な羽
実家の超狭い庭でミンミン蝉が鳴いている。昔は、近所に屋敷森が無数にあったが、今は数えるほどだ。
どうやら、昨年あたりからヒグラシ蝉の声を聞かなくなった。ミンミン蝉だっで、来年はいないかも…。
『オオスカシバ』という蝶と蛾の真ん中みたいな昆虫がいる。
昼行性なので春から夏に、かっては花の咲く庭などで普通に見かけた。
この二十年くらい全く見ない。一見して透明な羽を持つため蜂や虻に見えるが、まさか蛾とは思わない。
しかし、頭の形状や飛び方が蜂とは全く違うので判別は容易である。
おそらく大多数の人は、この虫を知らない思う。そして姿を見なくなった事にも気が付かない。
高校時代、この虫が教室に飛び込んで来て、『蜂来た!』と、大騒ぎになった。
私は、あれは蜂ではない…蛾の仲間だ、と指摘したが、教員を始め全員から否定の嵐。
『○○君、もう少し虫を勉強してから言いましょう、自分だけオカシな事を言わないように…』と、教員まで私をたしなめる始末。
『スカシバ』が教室から出ていったので、騒ぎは収束したが…私は『集団の無知とは、時に恐ろしく滑稽だ…』と憤懣やるかたなく沈黙するしかなかった。
今では、どうでも良い事だが…夏の庭を『スカシバ』の飛ぶ姿が、ふと思い出される。
