と或る新作能
今日は原爆の日でもありました。
原爆投下を扱った『長崎の聖母』…という新作能があります。
難病との壮絶な闘病生活の果てに他界した免疫学者多田富雄の作品です。
私は、著書『能の見える風景』に示された多田教授の長崎に対する見解には、必ずしも賛意は出来ないのですが、あの戦争の惨禍を能として創作した熱意は素晴らしいと思います。
能という古典芸能が、新作能に選ぶ題材が太平洋戦争の惨禍…という試みは、パイオニア的価値も含めて意義深い。
あえて、声をあげることで歴史の積み重ねを否定せず、人々の財産とする…戦火に命を失った人々等は、自ら愛国者を演じ身をやつしたわけでもなく、また英雄になろうとしたヒロイズムでもないのです。
普通に生きる選択を奪われた人々だ…という事実を忘れてはならない、と思います。
この季節だけ戦争物を扱うテレビメディアが、私には今もって理解できないし、冷ややかな無責任さを感じてなりません。
