我もその人も…
源氏物語の主人公光源氏は幻巻で出家し姿を消した…と結末付けられている。
想定年齢は五十代前半(私とは差ほどもないが…)
ほどなく死を迎え、魂の旅立ちとなったはずだ。
もし、魂が還る場所が故郷であるならば、源氏の故郷は愛した女達の魂の元かも知れぬ。
しかし、そんな源氏の死や魂など認めない、私を愛してくれた輝かしい光君だけ…と、時空を越えて過去の慕情から離れないのが御息所だと思う。
源氏が生きていればこそ、『紫の上』を死に誘いかけ、あるいは『女三宮』を失墜に導く悪霊にもなる。
原作の中で、その死後も怨霊のごとく描かれる御息所であるが、実は彼女にとって、光君が中年をむかえていようが気になって仕方ない…死しても本能の炎だけは残ってしまったような、好きでたまらない。
そして何より、永遠に光君に愛された私が一番大好き…そこに儚い恋を大切にした女らしさ、可愛らしさを、この御息所に見いだす事が可能だと思う。
