ある女性作家 | HOODのブログ

ある女性作家

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以前のブログにも書き込みましたが、私は脚本家の向田邦子の作品やエッセイが好きで愛読していました。

この『女の人指し指』は最後のエッセイで、この連載途中に、台湾上空の飛行機事故で惜しくも散じた。
その彼女の生き方や指向には広い層からの支持の多かった作家でもあった。
たぶん、いずれ誰かの女優がドラマで演じる事であろう。
風貌的には菅野美穂か…あるいは知的な印象なら山田麻衣子あたりで…。

この人の比類ない才能は、事に当たる思い切りや覚悟、あるいは『気っ風の良さ、切れ味』だと思います。

趣味とも呼べる愛飲家であり、美味しい食事を心から愛し、その体験をエッセイに記してゆく。
もし男性作家が、このような蘊蓄を語ると理屈や経験主義となり、どこか通俗的で陳腐になりがちである。
ところが、彼女の選択の眼差しというのは、どこか『諦観』がある。
使う食器や酒器も量産品ではなく、趣味にあったものを使いながら味わう…割れたら、それも命だ…そういう人生の楽しみ方を知らしめてくれるエッセイであった。