能面という『道具』は能役者が面(おもて)を実際に顔に受けて用いられる。
役者の動かす感覚や感性で、始めて生命を吹き込まれる存在なのだ。
美術館に展示された能面は、美術工芸品として観賞の対象として眺められたりするが、能面本来の姿ではない…。
実際に能で使われている時と、何かの機会に展示されている時では能面の印象が違うのは、そのため
である。
その能面を舞台で見た時と同じように撮影するのが、意外と工夫を要する。
上手くゆかないと、能面に『お前がワタクシを撮影するなど、まだ早いわ!』と、言われているような気分になるのだ。