読書三昧なら。
もし一年以上、ただ本だけ読んで暮らせるならと…仮定して、持ち込む本に必ず入れたいのが『甲子夜話』松浦静山著なのだ。
江戸時代に流布した奇談怪談、噂、事件、現地ルポ、対談など様々な記事。とにかく読み始めると時間を忘れてしまう。
能ネタも多い。
『猩々の双子』は、見せ物にされていた(おそらく異人…外国人とのハーフか)子供に能『猩々』の装束に似せた着物を着せて好事家が眺めている話。
あるいは、と或る金持ちの商家が能舞台を建て日がな演能をして宴会などをしていたが、突然に幕府に取り締まられて没収された話…その能は全くの素人芸だった…たぶん贅沢にすぎたか、と静山は記している。
または、各藩主の評判とか、現在の六義園レポートなどは現在と比較して読むと興味深い。
さらに下ネタもある。
異常にペニスの長い男の話…首を一回りする長さ(しかも詳細な挿し絵がある)
『甲子夜話』は、平戸藩主であった静山が市井の情報を丹念に収集した希有な読み物の一つであろう。
ちなみに、この静山さんは時代劇でも様々なアレンジを受けているようで、時には老いた剣豪、あるいは若い女性をはらました元気な元藩主…など『甲子夜話』が時代小説のネタ本である事に疑う余地はない。
ありきたりな時代小説に飽きた人には絶好の読み物です。
(まだ現代語訳はないと思うので、少し大変…)
