頼政残照…壱
頼政残照…老木の花
老武将源頼政…彼の娘が嫁いだ先は平家一門に繋がる有力者であった。
その庇護あって、ついぞ進まなかった尉官は三位まで昇進出世した。
往時は歌に励んだものだ…懸命に和歌こそ出世の道と励んだものだった。
だが、武士は朝廷への勤めを離れ覇を争う時代に変わった。
その幾多の合戦で多くの親戚縁者が滅亡していった。
身は唯一人、僅かな親戚と郎党を率いて都に残り、流れに逆らわないように朝廷に勤めてきた…しかし、もはや自ら七十才の年を聞くまま、老境の日々に成り果てようとしている。
思えば、先祖の源頼光も藤原一族の権勢の下、単なる飼い犬に近い存在に甘んじたのだ。
若い貴族が女の元へ通う道中を警護して、夜が明けるまで庭外で待っていたり…思うに、ただ屈辱だったろう。
そんな時代を、武家中心へ変革したのが、あの平清盛だ。
身も、もっと早く気づけば…力のある武家が政治を執って何が悪いのだ…と。
以仁王から…使いが来た?
あの皇子か…世間知らずの割には、身の不遇を恨んでいるそうだ。
もはや色好みしか能もない阿呆だが、最後の賭に利用してみるか。
よし…息子や郎党を集めよう。
誰でも御旗を上げれば官軍だって事を教えてやる。
ふっ…平家が逆賊というのは面白い。
