三の丸跡。主君、家来が茶の湯を楽しんだと記されています。
小さな茶室が建てられたのでしょうか。あるいは野点かも知れません。
木立を秋の涼風が吹き抜けます。この場所で、茶を点てて語らった人々に去来した思いとは、おそらく豊作と平穏な日々であったと思います。
ふと、能『敦盛』を思い出しました。平家物語に登場する少年武将平敦盛は悲劇的に最後を終えますが、能『敦盛』は秋を季節に風雅な世界が展開しつつ、滅びた少年の哀切を奏でます。
そんな一節です。
ここで茶を楽しむ当時の人々、まさか主家の滅亡が迫っているとは想像していなかったでしょう。