能桜川 | HOODのブログ

能桜川

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先週金曜日に見た能桜川。母子邂逅能として桜の華やかな彩りの中、無事大円団となる。終演、母親は子を幕へと導き、舞台から去りゆく子の背を見送る。この場面の子と母の関係に、私は人生の『去らぬ別れ』を考える。幕へ行く子は、再び祝された未来へ此岸に送り出され、母の残る舞台は彼岸に変わる。親子の別れは永遠に定めである。中世の人々が考えた人の命が持つ役割とは、輪の様に回る一つの循環であった、と思う。今年の桜は、来年の花芽を用意して咲き、散るのである。人々は桜に命と同様の定めを見出したのだろうか。