もう一冊買った本。
『 東京の戦争』
吉村昭著 ちくま文庫
500円
2005年第一刷発行
六十数年前、日本は米国との戦争の果てに、国土の多くが焦土に変し、全ての人的、物的財産を失って敗れた。
著者は当時の回想を、走馬燈の淡い影絵を見せるように描いてゆく。
戦争は醜く人間の心を変えてしまうが、その中で衿を正しながら職務を果たす人々もいる。
平和とは戦争の一形態に過ぎない。と言われる。しかし、安易に口にし、披露する言葉だろうか。常に戦災地で苦しむ弱者とは、最後まで声なき民ではないのか。
先年新潟中越地震の時、地震や災害は、若い学生や人々には良い経験だ、などメディアを通じてコメントした人々がいた。
今、その真意は問うまい。
我々の過ちとは、現在形に於いても、過去を語るような視点で、物事に補完や修正を加えながら、大切な将来を捉えてしまう事なのだ。
