私だって抱っこしてほしい。
私は我慢しているのに。
弟ばっかりズルい。

娘の胸の内が聞こえてくるようでした。  

「ママ、抱っこしないでね。」
「階段登るまでは抱っこしないでね。階段登ってからならいいよ。」

正直ね、そう言われるのがうるさかった。
抱っこ抱っこって泣いて騒ぐ弟をヒョイと抱っこしてしまった方が楽だった。
階段登ってからならいいよ、って娘なりの妥協点の提示だったのだけど。

案の定、息子は自分では歩かず、私の足にしがみつく。

さぁ、どうしよう。

抱っこするなと騒ぐ娘と抱っこしろと騒ぐ息子の間で立ちすくむ33歳。

「どうしたらいいと思う?」娘に問うと、
「階段あがってから抱っこして。」
「このままじゃ階段あがれないね。」
この問答を何度か繰り返して、
「じゃあ五段目まであがってから。」
娘なりの妥協点を少し下げてくれた。
なんとか息子を五段目まで引きずり上げ、抱っこして、娘と手をつないで階段を登ったのだけど、
「ありがとうね。◯◯(娘)も抱っこしたかったもんね。」と声をかけたら、堰を切ったようにワンワン泣きだした。

子どもは図星だとワンワン泣く。
私はその姿を見て、とても愛おしいと思った。

階段を登りきって、ワンワン泣く2人をしゃがんで抱っこして、2人とも可愛いなと思った。

ワンワン泣く子どもたちを愛おしい、可愛いと思えた自分が素直に嬉しかった。

もうっ!うるさいっ!2人を抱っこできないでしょ!っと言ってしまう夜もあるから。

「私だってほんとは抱っこしてほしい。」
そんな娘の気持ちに気付けただけで、こんなに愛おしく感じるんだ。
多分、娘もママ分かってくれてるんだって思ったんじゃないかな。

冷静に考えると一番抱っこして欲しいであろう娘は一度も「抱っこして。」って言ってない。
「抱っこしないで。」という言葉から既に彼女は百歩くらい譲っていたのかもしれないな。

素直になんでも言葉にしているようで、本当のところは我慢もしている娘の本音を代弁してあげられたらいいな。
図星のワンワン泣きは、私にもとっても沁みました。

こんな日はパパがいたらいいのに。
あ、いたんだった。
息子ダウンの後はダンナダウン。
男子からやられる我が家。