医療行為の是非。 | NTRL life

医療行為の是非。

福島県立大野病院産婦人科の加藤先生が、月曜に保釈された。
一安心、ではあるけれど、当然のことが行われただけ。
というより、不当に身柄拘束されていた20日以上の日々について、
何も賠償的なものはされないのだろうか。
本当に、本当に腹が立ち、やりきれない思いになるこの事件。

逮捕後、全国的な医師からの抗議を受け、
報道内容も少しずつ、変化していることが分かる。
以下、最近の新聞報道についてリンク。

=======================================
3/12付 毎日新聞
福島・大野病院医療ミス:医師逮捕 医師ら・検察側の対立、エスカレート
医師不足:大学から派遣の927病院、「産婦人科医1人」14%--学会調査

3/14,15付 朝日新聞(福島版)
医師逮捕・詳報(上)~声なき子宮の訴え~
医師逮捕・詳報(中)~血液あふれ出てきた
=======================================

朝日の15日付の記事は、手術の経過も詳細に書かれている。
ただ、なんでこれが地方版扱いでしかないんだろう。
この事件が刑事事件として成立、有罪となってしまった場合、
本当に、あっと言う間に全国の医療が崩壊しかねないのに。

加藤先生は保釈されたが、公判はこれから。
もちろん、実際の手術の様子などは限られた情報しか分からないので、
現段階で本当に過誤があったのかどうか、
端から見ている僕らが判断することはできない。
時間はかかるだろうが、公判の流れをじっくり見守る必要がある。
しかし、明らかとなる事実と判決の結果如何によっては、
今後の医療行為自体が大幅に制限されるのは間違いないだろう。
過誤によらず、患者さんに悪影響を与える恐れのある治療は、
その治療法自体が違法とされるかもしれない、という話なんだ。

免許や資格を持たない人が医療行為を行うことは禁止されている。
医療行為は、そのこと自体が患者さんに害をもたらし得るのだから。
どんな薬にも副作用はあるし、メスで切ったら感染の恐れはゼロではない。
放っておいた場合と、治療を行った場合。
どちらが患者さんにとって有益かを考え、医療は成り立っている。
そこに、100%の文字は、残念ながら無いだろう。
医療の悪影響が、すべて医療者側の過誤(ミス)と判断され、
法的に罰せられるのだとしたら、
極論すれば、医療行為自体がすべて犯罪となってしまう。
そこまで言わずとも、高度な技術を要する医療によって、
起こることがやむを得ない/避けられないと思われる合併症、死亡が、
法的に違法と判断されてしまう場合、
ごく一部の高度医療施設以外での救急医療は破綻するだろう。
結果、患者さんのたらい回しや当該医療施設のパンクは目に見えている。
また、経験のない医師が治療に参加できず、
技術が身につかない状況も、十分考えられる。
その結果、日本の医療がどうなっていくのか・・・・・

残念ながら、現在進んでいる医療制度改革は、
先に書いたような流れで進んでいるように感じる。
13日に行われた参議院予算委員会で、民主党の櫻井議員が質問に立ち、
感染症対策とともに、今回の事件についても質問をしていた。
医療行為の是非と、医師の遍在/不足問題。
こうした刑事事件について国会で質問されること自体異例のことのようだけど、
御自身も医師ということで、事の重大性に対する認識が伝わってきた。
一方、唖然としたのが、厚生労働大臣の認識のあまりの甘さ。
その返答を見る限り、医療制度に対する厚労省の取り組み体制が、
まったくと言っていいほど現場感覚から離れていることが分かる。
時間のある方は、以下のリンクから質疑の様子を見てほしい。
(櫻井議員の質疑のところをクリックしてください)

2006年3月13日 第10回参議院予算委員会


今回の事件は、そういうレベルの話なんだ。
事の重要性は、姉歯事件よりも何十倍、何百倍も大きいのではないか。
まして、永田メール問題なんてどうでもいい。
たかが1人のおっさんの金絡みより、日本の医療そのもの。
これが何故、何千、何万分の一の扱いにしかならないのか。
そもそも、医療従事者でも、どれだけの人が自分のこととして受け止めているんだろう。
近い将来、医療現場に出ようとしている自分にとっては、
とても他人事とは思えないのだけれど。