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佐々木先生➑ー➎20240720(土)PM4時PC教室にて完成★★★ リンク538チエック済 電子原本【加筆用】➎1.78 MB日の丸ベンチャー第12話 .pdf (1,832 KB)
第12話 田中角栄の落とし子ベンチャー、国交省に泣かされる?
「全国無水掘工法協会(現・NPO法人「NETIS新技術活用協働機構」)
永見博希代表
内容
・★素人だからできた水を使わない画期的な「無水掘工法」(4)(5)(9)(63)(81)(95)(95ノ2B)
・★国交省の新技術情報提供システム「NETIS」(100)の推奨技術(81ノ2) (81ノ3) となる
・★障害者団体とのコラボによるNPO(73)での新展開が始まる
災害大国日本 (4)竹下創政キャンペーン(4ノ2) 土砂災害大国日本防災二ユースで、危険な急斜面や崩れ落ちた崖などを補強・修復する技術は、いろいろあるが、大半の技術は大がかりで土壌を掘削するために水を使用する (5ノ4)。「無水掘工法」(5)(9)(63)(81)(95)(95ノ2B)はその名の通り、水を使わずに削抗できる。そのため機械も小型(5ノ3)で、足場も小さくてすむ。
その結果、コスト縮減並びに工期の短縮が可能になるという、実に画期的なものである。
島根の中学を卒業後、金の卵として大阪の一部上場企業に就職した永見博希代表だが、
自力で高校に進学・卒業後、建設業の世界に転身する。新たな工法を発明した後に、独立
して無水掘工法(5)(9)(63)(81)(95)(95ノ2B)を開発。その普及に人生を賭けることになる。
国交省の新技術情報提供システム「NETIS」の推奨技術 (81)(81ノ2)(81ノ3)となり、従来工法ではできない斜面防御工事など、今でも語り継がれるほどの難工事をクリアーしてきた技術だが、
NETISに登録されたばかりに、やがて既得権益の厚い壁と“談合”に翻弄される。
国交省(29)および行政(31) (51)の対応に翻弄されながら、倒産の危機(103ノ2)をバネに、現在のNPO法人「NETIS新技術活用協働機構」(73)を設立、新たな展開が始まっている。
増え続ける災害
狭い国土に1億2000万人の人口がひしめく我が国は、世界有数の災害列島(4ノ2)でもある。
地理的に、地震や津波、台風、火山の噴火などの自然災害が発生しやすいことから、毎年多くの犠牲者を生んでいる。特に、東海地震、東南海地震など、迫りくる巨大地震(106ノ3)を想定して、政府の防災中央会議でも行政サイドの取り組みはもちろん、個人や企業、地域コミュニティなど、民間の力を活かした防災対策を積極的に推進する方向にある。
事実、国の施策も次々と打ち出されているわけだが、その反面、近年目立つのは異常気象の影響もあってか、集中豪雨 (1-3Ⅼ) (1ノ4) (3) (3ノ2) (4ノ2) による土砂崩れや大洪水などの多発である。そのため、防災や減災が盛んに謳われるのだが、例えば全国の急傾斜地崩壊危険箇所に六〇〇万人が暮らしているといわれる中で、整備が進む一方で全国の危険箇所(4ノ2) は年々増え続けている。
そんな日本で注目されている「無水掘工法」(5)(9)(63)(81)(95)(95ノ2B)は、一般的な知名度こそないが、土砂災害の多い日本に必要なものとして「全国無水掘工法協会(7ノ3L) (41ノ3) 」永見博希代表(Wikipedia)(現・NPO法人「NETIS新技術活用協働機構」(73)永見博希理事長)が全国に普及しようとしてきた新技術(9) (9ノ2) (9ノ3) (12)である。
無水掘工法は同協会の永見代表が社長を務めるオーナーシステム(株)(2) が1993年1月に開発した技術で、従来の方式とは異なり、水を使わないことから「無水掘工法」(5)(9)(63)(81)(95)(95ノ2B)と命名。2003年1月に特許(73ノ21) を取得した。コンパクトな機械(5ノ3) により、無注水で地山肌を傷めないという、削孔の常識を破る画期的な工法(5)(9)(63)(81)(95) (95ノ2B)として、急斜面の地滑り対策や斜面防護工事などのロックアンカーやロックボルト施工に欠かせない。ちなみに、ロックアンカー、ロックボルトなど聞き慣れない言葉だが、要は斜面をセメントの枠(法枠)で格子状に覆って、崩れないようにアンカー(錨)やボルトで岩盤につなぎ止める技術である。
無水掘工法の評価については、一九九八年度に国土交通省がNETIS(新技術情報提供システム) (9ノ2) に掲載。「本技術は削抗水を使わず、圧密削孔 (41ノ2L)により抗壁保持 (41ノ2L) を行い、永久アンカーの命である設置地盤の確認が一本一本可能であり、超軽量電動削孔機 (5ノ3) 使用によりコスト縮減、工期短縮、安全施工が可能となった工法」と紹介していることでもわかるはずだ。
主な実績の中で、画期的なものとして、今も語り継がれているのが、1993年当時の建設省福知山工事事務所(5)が行った京都府夜久野町の法面防災工事現場である。
京都から丹後・但馬、山陰方面への大動脈である国道九号線に面した現場は、法面が極めて急傾斜で後背には山地が広がり、国道に落ち込んでいくような地形である。92年に防災工事が行われたが、厳しい地形のため、一部に崩壊が発生し、ロックアンカー工事の再施工が必要になった。しかし、従来の工法 (5ノ4)(69ノ3) では二次災害の懸念があり、結局、無水掘工法(5)による施工が行われた (81) (69) 。工事は安全かつ迅速に行われ、無事完了したのだが、さらに予定工期を大幅に短縮し、結果的に工事予算の下方修正を実現することになった。
従来工法との違い
全国の約九割の市町村の住民が土砂災害の危険と背中合わせという災害大国ニッポンで、無水掘工法は画期的な技術として、国土交通省からの評価は高い。二〇〇一年度に国交省の「公共事業等における新技術情報提供システム」(9ノ2) がスタートして、無水掘工法はいわばお役所のお墨付きの技術として「技術活用パイロット事業」 (69) (2ノ12) に、工法指定という形で認定されている。
実際に採用されたのが、2001年に中国地方整備局山口工事事務所(22)が行った国道二号線勝谷防災工事であり(22ノ4)、同整備局の中国技術事務所がパイロット事業の「成果概要」の中で紹介している (22ノ2) (22ノ3) 。それによると、同国道は交通量が非常に多く、しかも片側一車線のため、交通規制が難しいことから、仮設足場の規模を小さく施工できる無水掘工法を採用し、コスト縮減、工期短縮を図った。2002年には本省発表(23)となった現場でもある。
さらに、従来のロータリーパーカッションによる泥水掘二重管工法(69ノ3)と比較。実施結果について (69) 、次のようにまとめている。
一、経済性は約25%の縮減、工期は従来と同程度であった。
二、ドライ削抗のため(岩盤の)定着層の確認ができ、泥水処理が不要である。
三、削孔機械の軽量化により、仮設足場の規模が縮小されている。
四、リモコン遠隔操作により落下・合図ミスを防止できる。
五、削孔スライム(残土)および自動搬送システムにより現場内がクリーンである。
2003年には国道四二号線・河瀬(鹿ケ瀬)地区擁護補強工事を行った近畿地方整備局和歌山河川国道事務所が「建設技術展2004近畿」(21) の「活用技術討論会」(33)で活用者として発表(33ノ2L)。2004年には、中部地方整備局紀勢国道事務所が42号線・海山鷲毛地区法面防災工事(32)での「無水掘工法の採用によるコスト縮減(33ノ2L)」の成果を発表している。
無水掘工法と従来の有水削孔との違いについて、改めて比較すると、水を使わないことによる利点の一つは、岩盤までの距離が現場で確かめられることだ(5ノ3) 。
「従来は設計書があるといっても、推定岩盤線といって、何メートル掘ると岩盤に届くはずだという工事のやり方だったんです。しかし、土の中のことですから、やってみなければわからない。それが無水掘工法では1メートルずつ土質の調査をしながら工事を進めることができるので、間違いがない」と、永見代表は強調する。
和歌山県河川国道事務所は超高圧で噴き出される掘削パウダーを容易に確認でき、アンカーの命ともいえる「定着地盤の確認」が確実に行える点を「画期的だ」と評価して、発表したといういきさつもある(33)。
もう一つは無水掘工法だと、地下水の動向がわかること。山の斜面を掘るため、現場に地下水脈があると、水が噴き出してくる。ところが、従来の方式(69ノ3)では削孔に水を使っているため、地下水の確認ができない。そのためアンカーやボルトをセメントで固定したつもりが、地下水で希釈されて抜けるなどの品質低下につながる。無水掘工法だと、それが事前にわかるため、排水の処置をした上で工事を進めることができる。
この二つが技術的に非常に高い評価を得ている点だという。もちろん、従来の工法との違いは「工事コスト34%低減」といった点にもある。削孔の機械は(5ノ3) 、従来のものは重さが1・5トンあった。従って、足場も4・5メートルの作業幅になる。それが無水掘の機械はわずか250キロ。足場も1・6メートルと非常にコンパクト(5ノ3) 。つまり、コスト三四%低減という意味は、従来は1000万円かかった仮設足場が、無水掘工法では200万円ですむからでもある。その機械のコンパクトさが、さらに無水掘工法の安全性を高め、
工期の短縮化にもつながっている。その結果の累計7億1300万円の公共事業費削減実績 (105) というわけだ。
国の推奨技術
構造改革を掲げて(16) (19)(20)、コスト縮減(5)(9)(63)(81)(95)(95ノ2B)を図った小泉政権下(24) (20)(21) 、2002年に制定された知的財産基本法(19)(24)もまた、無水掘工法を結果的に保護してくれることになる。同法の制定は大学や中小企業、ベンチャー企業が生み出した知的財産を活用し、地方自治体による知的財産に関する取り組みを通じて産業の創出を行うことで、日本経済の活性化を目指している。
同協会の無水掘工法も、そうしたものの一つとの位置づけで、いわば国の推奨技術(5)(9)(63)(81)(95)(95ノ2B)として「工法指定」の工事が発注される仕組みが法律的にも整備されていったというのが、近年の動きでもある。公共事業などにおける品質確保 (39)(39ノ2) 、コスト縮減(9) (50)という時代の流れの中で「工事コスト34%低減」をキャッチフレーズにする無水掘工法は(5ノ3)(81) 、まさに時代の要請にかなった技術としてその前途はバラ色のはずであった。
だが、現実には国の認定を受けて、無水掘工法は逆に売上が激減する事態(29)(29ノ2)となったのである。
それまでの民間べーすの仕事では、例えば元請けが受注した工事が、従来工法では1億円かかるのが、