働きたい人働きたくない人

 

働く人が多くいる一方で、働かない人がいます。働けない人、働きたくない人、事情は様々ですが、いずれにせよ無視は出来ないほどに数多くの人たちが仕事についていません。もちろん高齢者や学業に励む子供は別としても、無職である働き盛りの世代の合計は300万人とも推計されています。これは障がい者の数を含んでいません。

 

働くとは、どういう事でしょうか。典型的なのは給料をもらって雇用される形です。自営業のように自分で資本を用意して働く人もいます。また、雇用の形態も様々で、正社員として長年勤める場合もあれば、フリーターのように職場を転々としている人もいます。中にはボランティアとして、NPO法人などで活躍するケースもあるでしょう。

 

豊かな国では、働かなくても食べていけるという人は多くいます。日本でもニートやひきこもりや無職の人たちが多くいます。病気やケガで働けなくなった他、挫折や学校時代に原因がある人も多く、一概に働かないことを責めることはできないと思います。

 

価値観が多様化する中で、働くということにもいろいろな考えがあります。極端に言えば、絶対に働かなければいけないという考え方と、絶対に働きたくないという考え方の二つになるでしょう。その間に、あまり仕事ばかりでもつらい、遊んでばかりでは面白くないなど、中間的な考え方がありますが、多くの人はこの真ん中の集団に属すると思います。

 

誰しも、働きたいし働きたくないという、二つの考えを同時に持っているのと思うのです。労働と余暇、人によってどちらに荷重をかけるかは違いますが、いわば両輪の輪、あるいはアクセルとブレーキの関係であるでしょう。いずれも生きるにあたって必要なことです。

 

ある人の考えが、他の人にとっても正しいということは少ないかと思います。社会の文化や企業風土によって、見た目は画一的な価値観が存在するようにも思えます。しかし、現代社会で間違いなく言えるのは、全員が能力と時間の全てを振り絞らなければ生きていけない社会ではないということです。古代の狩猟民族や農耕社会では、仕事をしない人間は排除されたという歴史があり、そうでなければ共同体を維持できなかったということもあるでしょう。しかし、産業革命以降の生産性の高まりは、能力によって人間を選別する動機を失わせたと思います。

 

多くの人生がある中で、それぞれの考え方を尊重するのが、21世紀の社会には求められています。ダイバーシティと言いますが、違う価値観というのは大事な社会資源になっていくでしょう。働かない人からは、怠け方を見習えばいいのです。アクセルしかない車では、事故を起こしてしまいます。色々な活躍の仕方があるのだと思います。

 

事務局長 山田