おはようございます。
執筆を致しておりますと、文字の魅惑に取り憑かれますね。制作同様の集中度がございます。至福のとき。
テキストのご紹介です。
玉本奈々(1976-)は、テキスタイルデザイナーとしての経験を活かし、布や糸などの繊維素材を用いて、絵画や立体作品を制作する。布や糸を収縮させるなどして質感を変化させた素材を支持体に貼り付け、彩色を施した絵画は、凹凸のある画面や装飾性、毒々しくも艶やかな色彩を特徴とする。
長辺約4mにもおよぶ本作では、眼のようなアーモンド型の形態を、さまざまな表情を浮かべこちらをみる小さな顔が取り囲む。「黒は女性の象徴的な色」と述べる玉本の言葉から、中心の形態はあるいは口や女性器などの器官ともとれ、多数密集した円形とその繊細なマチエールは、細胞や血球のような微細な世界をも彷彿とする。玉本自身の内的な経験から描かれる夢幻的な精神世界は、見るものの潜在意識に深く語りかけると同時に、見るものの深部を鋭く見透かすようでもある。
鳥越麻由
東京都現代美術館 学芸員
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