桜花は「人間爆弾」とも
アメリカ海軍歴史遺産司令部の水中考古学部門は2023年5月末、沖縄本島北方沖の水深1300mにて、アメリカ軍駆逐艦「マナート・L・エベール」を発見したと発表しました。「マナート・L・エベール」は太平洋戦争末期の1945(昭和20)年4月12日、旧日本海軍の特攻専用機「桜花」の突入によって撃沈された唯一の艦艇です。沖縄戦の最中でした。

当時、海上における日本側の攻撃は、戦闘機などに爆弾を搭載し、機体もろとも体当たりする「特攻」が主流となっていました。そのような中、旧海軍は特攻専用機を開発。「桜花」と名付けられたそれは、航空母艦を撃沈できる仕様として1トンの徹甲爆弾を搭載し、乗員が火薬ロケットを点火して推進、800km/hを超える速度で滑空するというものでした。

ただし「桜花」は自ら離陸はできず、母機に運搬のうえ射出してもらう必要がありました。母機となったのは旧海軍の双発機である一式陸上攻撃機。しかし時は戦争末期、制空権を喪失していた日本側が敵艦に接近するのは至難の業でした。事実、「桜花」を搭載し重量が増した母機は鈍足となり、「桜花」を射出する前にほとんどが撃墜されたとされています。

「マナート・L・エベール」は「桜花」の攻撃を受ける直前、零式艦上戦闘機(ゼロ戦)による特攻を受けていました。ゼロ戦は命中し、機関を損傷した「マナート・L・エベール」は航行不能に陥っていました。そこへ「桜花」を搭載した一式陸上攻撃機が防空網を突破して接近。射出された「桜花」が超高速で「マナート・L・エベール」の喫水線に突入したのです。衝撃と爆発により、船尾は一瞬で吹き飛んだといいます。

海底で発見された船体はその中央が2つに折れていたことなどから「マナート・L・エベール」と断定。アメリカ海軍歴史遺産司令部のサミュエル・コックスディレクターは、「ここは祖国を守ろうと84人の海軍兵士が壮絶な最期を迎えた場所です。発見してくれたチームに深く感謝します。発見により、遺族は区切りを付けられると思うし、また我々には兵士らを思い出し、称える機会を与えてくれました」とコメントしています。(乗りものニュース編集部)

 

船体は真っ二つ… アメリカ軍駆逐艦みつかる 特攻専用機「桜花」が撃沈 時は沖縄戦(乗りものニュース) - Yahoo!ニュース

 

桜花は今で言えば対艦ミサイルの原型だろう。もしも日本が電子技術が進歩した国だったら誘導装置をつけて無人化しただろうが、電子技術は欧米に大きく遅れていたので誘導装置の役割を人間が果たすことになったのだろう。桜花の航続距離は37キロ、母機から切り離されると落下しながらロケットで加速して敵艦に体当たりすると言う兵器だった。その弾頭重量は1.2トン、一撃で米海軍の空母を撃沈できるようにと言うことだったようだ。ただその母機は一式陸攻で2トン以上もある桜花を懸架するとただでさえ鈍足鈍重な機体はさらに飛行性能が劣化して桜花の射程内まで米軍戦闘機の迎撃をかいくぐって接近するなど至難なことだった。出来ることなら弾頭重量を半分にしてもロケットを増設してこの機体に200キロなり300キロ程度の航続距離を与えてやったらもう少しは活躍できただろう。特攻兵器は非人道的と言うが、戦争とは元来非人道的なものである。負けが込んでくると一発逆転を狙って弾頭ばかりを大きくするが、兵器としての効果をよく比較検討すべきだろう。同じ死ぬなら戦果を挙げて死にたいと思うのが自然だろう。最もそんな時間があれば戦争をしないで済むように政治が考えるべきだったんだろうけどそれはまた別の問題ではある。亡くなった方の冥福を祈る。

 

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