車両は合計100台規模
2023年5月、日本政府は広島で開催された先進7か国(G7)広島サミットにおいて、ロシアと紛争中のウクライナに対して、自衛隊が保有している物資および車両を供与する旨を発表した。物資の中心となるのは約3万食の携帯食料。車両は合計100台規模で
・1/2tトラック・高機動車・資材運搬車
を順次供与する。日本が所有する自衛隊車両を紛争当事国に供与するのは、極めて異例だ。おそらくその背景には今回の紛争における日本の旗印を改めて明確にするとともに、それを公式に表明するという点に大きな意味があったものと思われる。そうした場にG7サミットが好都合だったというわけだ。さて車両の供与だが、3車種合わせて100台程度の規模では現地での運用において大勢に影響するとは思えない。日本政府としては来日したゼレンスキー大統領に対する“お土産”という意味だったのかもしれないが、数的に少な過ぎるのではないか。さらに言うまでもなく、これらは最前線には出さない。ならばより汎用(はんよう)性の高い建設機械や民間仕様のトラックなどの方がよかったのではないかとも思える

1/2tトラックの特徴
ここからは供与向けとして選択された3種の車両について、現地ではどのように使われるのかを推測しつつ、それぞれが選択された意味と使用目的について解説したい。まず1/2tトラックだが、トラックの名称は付いていても貨物の積載スペースと積載量は決して多くはない。自衛隊ではかつて使われていた73式小型トラック(ジープ)の後継として採用された車両であり、初期の名称も先代と同じ73式小型トラックだった。その任務は少数の人員輸送、軽貨物輸送、そして軽武装での偵察や用務連絡などである。外観が民間のオフロード4WDに似ていることからもわかるとおり、走行性能はおおむね民間向けのオフロード4WD車に準じている。ウクライナがこの車両をどのように使用するのか。実はウクライナでは現時点で多くの民間仕様オフロード4WDや4WDピックアップなどが、民間団体からの寄付という形で集められている。そうした民間寄付団体であるカー・フォー・ウクライナだけで既に200台以上が集められ運用されているという情報もある。これらは政府組織の他ウクライナ軍でも使われており、1/2tトラックもその性能と性格から判断してその一部となることが推測できる。車両のサイズ的にも小型で扱いやすい。ただし現地では荷台のあるピックアップがより重宝されているとの情報もあり、その有用性はと評価は先方の使い方次第だろう。

高機動車の特徴
次に高機動車である。これは自衛隊では1/2tトラックの上位に位置する存在であり、人員輸送力、貨物積載能力、トレーラー等のけん引力のいずれも上回る。任務的には
・人員輸送・軽貨物輸送・偵察
などが主だ。こうした点は1/2tトラックに準じているが、高機動車のバリエーションにはミサイルキャリア等もありその総合性能ははるかに高い。また足回りも非常に洗練されたサスペンションと駆動装置を備えており、オフロード走破性も高い。ウクライナ軍は高機動車に類似した車両としてアメリカ軍の装備品でもるハンヴィーこと高機動多目的装輪車を装備しており、性能も用途も高機動車に近い存在である。おそらくウクライナでの高機動車の用途もハンヴィーに準じたものとなるだろう。

資材運搬車の特徴
そして最後が資材運搬車だ。この車両は民間の建設作業や農作業などでも広く使われているゴムクローラのダンプである。ただし自衛隊仕様は民間仕様とは異なり、小型のクレーンと左右両側のキャビンが装備されている。自衛隊では主として施設部隊(工兵隊)で作業現場での土砂搬送、建設資材の運搬などに使われている。クローラゆえに移動速度は速くはないがオフロードでの走行性能と安定性に優れている。ウクライナでも後方での資材輸送や工事現場などで有効に活用できるはずだ。

供与について納得できない理由
さて、これら3種の車両の供与について、納得できる理由もそうでない理由もある。まず1/2tトラックと高機動車だが、前述したとおり、用途がダブっている。こうした場合、能力が上の方が下を補完するというのは定説である。おそらく1/2tトラックでできることは高機動車で全て可能だ。現地では荷台付きのトラックの方が重宝されているということもあり、ここは高機動車と機械部分の多くを共用する荷台付きのトラックである1 1/2tトラックの方がより適していたのではないかと思える。このことにはほかにも理由がある。供与に当たっては車両単体だけではなく補給やメンテナンスについても責任を負ってこそ、真の意味での国際貢献である。ならば、機能部品の多くを共用している1 1/2tトラックと高機動車の組み合わせの方が部品補給およびメンテナンスの面でもより安心できたのではないだろうか。ちなみに資材運搬車については、民間仕様を生産しているメーカーの諸岡(茨城県龍ケ崎市)は現時点でロシアとその周辺国に進出して久しい。すなわち、ウクライナ国内でも部品調達やメンテナンスは問題なく可能だ。そうした意味では供与品としてはまったく問題がない。

地雷処理機のパフォーマンス
さて最後に話は変わるが、自衛隊の装備品以外に紛争地においてわが国なりの貢献ができる車両はないのか。実はある。それは日建(山梨県南アルプス市)が手掛けている地雷処理機である。この機器はいわゆる油圧シャベルのブームの先端に地雷処理に特化したアタッチメントを装備することで、安全かつ確実に対人および対戦車地雷を処理できるというものだ。平時にはアタッチメントを通常のバケットに換装すれば建設機械としても使えるという多用途性に優れているのも特徴だ。今回の日本政府のウクライナへの車両供与は、紛争終結後の復興事業といった戦後政策を見据えた上で「日本の発言力を増すための措置」であることは間違いない。

これをある種のポーズと言ってしまうのは簡単だが、やるからには
・供与先にとって本当に有用なもの・きちんとメンテナンスすれば長く使えるもの
を供与してほしいというのが納税者のシンプルな望みではないだろうか。(守山進(フリーライター))

 

ウクライナに「自衛隊車両」3車種提供も そのチョイスにどうも納得できない理由(Merkmal) - Yahoo!ニュース

 

日本としては自衛隊の現役装備車両を供与するんだから思い切ったつもりだろう。ただ数をもっとやればいいと思うが、どうなんだろう。記事にも書いてあるが、パジェロよりも高機動車の方が役に立つだろう。でもソフトトップ車両なので弾が飛んでくる前線では使えないだろう。そして政府は武器の輸出を模索しているのだから輸送用車両などと言っていないで防空ミサイルシステムでも供与してやればいい。短SAMでも中SAMでもロシアのミサイルや無人機の迎撃には役に立つだろう。無人機を迎撃するのだから人間を殺傷するわけではないし、ウクライナの民間人を守ることになって人道的ではある。戦車とか自走砲とか第一線で敵に向かって射撃するものはまずいだろうけど防空ミサイルなら後方の都市を守るものなので専守防衛(?)にも資するだろう。戦後の復興には日本が中心になって資金援助するのだろうが、戦後はまだまだ遠い。少しでもウクライナ国民が無駄に命を失わないようにぜひ防空ミサイルを供与してやるべきだろう、・・(^。^)y-.。o○。

 

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