1997年3月。韓国海軍が日本と対等な軍事力を持つために野心を持って準備していた「韓国型航空母艦」導入計画は、韓国国防省と合同参謀本部の反対に直面した。当時の金泳三大統領は、韓国の海軍戦力が日本の10%にすぎないため、基準排水量で2万トン級の軽空母と6隻の駆逐艦からなる空母戦団を編成するよう指示していた(日本の海上自衛隊護衛艦「いずも型」の基準排水量は1万9950トン)。合同参謀本部などが空母建造に反対した表面的な理由は、「周辺国の軍備増強を引き起こし、地域の安全保障を揺るがしかねない」というものだった。ところが、軍首脳部のホンネは、陸軍中心の合同参謀本部は「当面は北朝鮮に対応する方向で軍事力建設を集中すべき」だった。そのため、空母建造に強く反対した。このとき出たのが、「朝鮮半島不沈空母論」だった。
■23年前の「不沈空母論」が開発のネックに
一方、中国と日本は周辺国が反対するにもかかわらず、空母建造計画を進めていた。とくに中国は、「遼寧」(基準排水量5万3000トン)「山東」(同推定5万5000トン)の2隻の空母を建造し、今や3隻目の空母を準備中だ。これまでアメリカが支配していた太平洋において、力の均衡を崩そうというものだ。中国はアメリカと対等な軍事力を確保するため、4つの空母戦団を編成する方針だ。2020年12月11日、韓国国会の国防委員会予算審査小委員会。韓国型空母の設計費101億ウォン(約9億4500万円)の代わりに、着手金10億ウォン(約9400万円)だけを確保してほしいとする海軍と防衛事業庁の要請に野党側が強く反対した。「高い維持費に見合うだけの北朝鮮に対する抑止力を持たない」「朝鮮半島は不沈空母だ」という論理が出されたのだ。23年前と同じ論理が出されたことになる。さらには、「韓国を取り巻く安全保障の現実からいえば必要がない」という意見まで出た。これには海軍が衝撃を受けた。与党内でも一部反対の声が出てしまい、結局、2021年の空母関連予算は1億ウォン(約940万円)にまで減額されてしまった。
ところが、状況は一気に反転する。合同参謀本部は2020年12月30日に合同参謀会議を開き、韓国型空母建造事業について研究開発、または購入するという決定を下した。軍首脳部は軽空母を建造するという計画について「安保上のリスクに対応する未来の合同戦力」と評価し、事業推進を決めた。これにより、2021~2025年の国防中期計画に韓国型空母建造事業が含まれる可能性が高まった。2021年、防衛事業庁はこの事業の妥当性の分析を、海軍は空母建造と艦載機となるF35B導入に対する細部計画を準備する。事業が順調に進めば、来年2022年に基本設計が始められる。海軍は23年前の経験を踏まえ、合同参謀本部をどのように説得したのだろうか。海軍は予算の大幅削減でショックを受けたものの、歴史的偉人を利用し反論した。一人は儒学者の李珥(イ・イ、1536~1584年)、もう一人は李朝の宰相だった柳成龍(リュ・ソンリョン、1542~1607年)だ。李は1592年の文禄の役(~1593年)が始まる10年前に、「10万人の兵士を育成すべきだ」と主張した人物だった。しかし、「国がこれだけ平和なのに戦争なんて起きるものか」と大批判を受けた。また柳は豊臣軍に抵抗して戦功をなした人物であり、その史書「懲毖録」(ちょうひろく)で「事前に戦争を防ぐことができなかったことを反省すべきだ」と書いている。
■史実を利用して開発計画を承認させた海軍
中国と日本の海軍力は韓国より優位に立つ。海軍首脳部は「周辺大国レベルまで到達するのは難しいが、少なくとも抑止力は保有すべき」と訴えた。20年超の空母建造反対の理由とされていた「朝鮮半島不沈空母論」も、積極的に賛成理由として利用したという。1950年の朝鮮戦争の経験を取り上げたという。戦争当初、韓国での飛行場運用は事実上不可能な状況であり、空軍戦闘機は日本から出撃していた。しかし、1時間超の時間をかけて対馬海峡を越えてきた戦闘機の作戦時間は、わずか15分だった。一方、アメリカ海軍の空母から出撃した戦闘機は出撃して5~10分で地上軍支援が可能だった。韓国のF15K戦闘機の作戦時間は、竹島(韓国名・独島)の上空まで30分、中韓で所有権を争う離於(イオ)島(中国名・蘇岩礁)で20分だ。KF16戦闘機の場合、それぞれ10分と5分にすぎない。空中給油機を導入した場合、F15Kであれば竹島上空での作戦時間が90分程度に増え、最新戦闘機となるF35Aの導入も決定されているが、これ以上の空中戦力の追加は限界がある。これを補うことができる未来の戦力が空母なのだと海軍は主張した。
韓国政界では、原子力潜水艦を導入せよとの声が高まっている。しかし、これには韓米原子力協定が先決条件となり、軽空母とは作戦上の性格が違うと海軍は説明する。例えば戦車と自走砲の性格が違うように、原子力潜水艦と空母は目標がまったく違うということだ。とくに空母は、存在自体が戦争抑止力と外交力の確保につながるのだと海軍は説明する。一方で、韓国の国力に軽空母は浪費と反対する声もある。しかし、韓国より軍事力や経済力が低いとされるイタリアやブラジル、タイなどがすでに軽空母を保有している。海軍は合同参謀本部に「空母建造には10年以上かかる。建造費を分散させれば、国防予算内で十分に支援できる」と積極的に説明しているようだ。(韓国「ソウル新聞」2021年1月29日)
韓国が「空母」建造に乗り出した歴史的理由(東洋経済オンライン) - Yahoo!ニュース
韓国が空母導入を計画するのは戦略的にどうこうではなくて「日本が持っているならこっちも欲しい、欲しい、欲しい、欲しい」だろう。だけど強襲揚陸艦でさえトラブルでまともに動けず、就活イベントに使うくらいで「強襲イベント艦」などと言われている。その強襲イベント艦に乗せるヘリもトラブル続きでしかも塩害対策ができずに航空機も新型を買う金がかかり過ぎて整備費が出せずに「共食い整備」となって稼働率がガタ落ちだそうだ。基礎技術もないのに「あれも欲しい、これも国産」などと言ってはまともに使えない兵器ばかり作りだしているらしい。ドイツの技術を導入して作った潜水艦さえ整備の試運転でエンジンがストップして立ち往生してしまう体たらくでまともに稼働しないのに原潜など作ってもそれ自体が核兵器になりかねない。まあ金を使うのは勝手だが、少しは基礎技術の蓄積に金を使えばいいと思うのだが、‥(^。^)y-.。o○。
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