そんなことを言っているうちに知的美人はさっさと服を脱ぐと浴室に入って行った。面倒だがこうなっては仕方がないので僕も後を追った。ここの風呂はバカみたいに広くてシャワーもカランもなぜか2基ついているので二人で入っても問題はない。でもどうして2基ついているんだろう。


ふろの湯を張っている間にシャワーを使っていたら知的美人が後ろから抱きついてきて「洗ってあげる」と言った。
「あんたねえ、ポルノビデオじゃないんだからさっさと自分の用を済ませれば。」
僕はそう言って押し戻した。


たまにならそれもいいだろうけど日常常日頃では疲れてしまうだろう。知的美人は「それもそうね。つい癖だから」と言って自分の体を洗い始めた。僕も自分の用を済ませてシャワーを使ってさっさと上がってしまった。僕が着替えを終わって一息入れていると知的美人も風呂から出てきた。知的美人は着替えを終えてベッドに腰を下ろすとため息をついた。



「ねえ、あなたはどうして私の面倒なんか見る気になったの。何の利益もない余計な負担でしょう。断ればよかったのに。」


「そうなの、断ってもよかったの。じゃあ今からでも遅くはないわね。」


僕がそう言うと知的美人はちょっと顔をしかめた。


「ずい分と抵抗したわよ。あなたのことなんて私には関係ないって。何と言ってももう一匹飼ってやっているんだから。これ以上私に押し付けないでって、・・ね。あなたが政治家さんの一人娘だろうが、天下国家にかかわることだろうが、そんなことは私には関係ないわ。でもね、うちの社長やここの社長、そして私のパートナーの副室長に言われるとどうしても断り切れなくてね。何だか最近結構人のつながりができちゃって、・・でもそれも悪くないのかなって思うわ。そんなところかな。ねえ、ところであなたはどうして私を選んだの。私は女、あなたの好きな男じゃないわ。」


僕はちょっと意地の悪い質問をしてやった。もっとも意地が悪いかもしれないが、僕にとっては一つの大きな疑問だった。


「前にも言ったでしょう。あなたは男の匂いがするって。あなたは女じゃないわ。それに態度や言葉遣いは乱暴なところがあるけど本質はやさしいところがあるし、頼りになりそうだし、・・それにあなたって上手だし。」


知的美人は先日のことを言っているようだ。最も僕は男として百戦錬磨の経験を積んできたし、その後は女土方とも新しい世界の経験を重ねてきたのでまあうまいと言えばそれはうまいのかもしれない。



「ねえ、ところでこうなったんだからあなたのことを聞かせてもらえる。どうして何があってこうなったのか。まああらすじは分ってはいるけどできれば具体的に何がどうしてどうなったのか、その辺を。言い難いところもあるだろうけど、まあ、できるだけ詳しく。そうでないとあなたにどう接していいのか分からないから。」


知的美人は手に持っていたタオルを投げ捨てた。


「父は私に後を継がせて政治家にしたかった。私は政治家になりたくなかった。ただそれだけよ。」


知的美人のあっけらかんとした答え方に笑ってしまった。そんなことは聞かなくても分かっている。



「それはもう分っているわよ。そうなった具体的な経過を聞きたいのよ。あなたに差支えがなければね。」


知的美人は「ふん」と言った感じで笑った。



「聞きたいなら話してあげるけど聞いても別に面白い話じゃないわよ。それでもいいなら、・・。」



僕は知的美人に黙って頷いた。


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