「じゃあ、確認させてもらうわね」
僕は毛布を跳ね除けると知的美人の両ひざの間に自分の膝を割り込ませて両手で足首をつかんだ。知的美人は「きゃっ」と言う短い悲鳴を上げて体を硬くして足を閉じようと抵抗した。
「どうしたの。さっきの威勢はどこに行ったの。私の化けの皮を剥がすんでしょう。もう皮は剥がれているから思い切りやってみれば、・・。」
「ねえ、ここに来て。ここに来て抱いてよ。」知的美人のすがるようなか細い声が聞こえた。知的美人のこんな声を聴くのは初めてだった。
「どうしたの、私の化けの皮を引っ剥がすんじゃなかったの。私もあなたの化けの皮を引っ剥がしてやるわ。」
「ねえ、やめて。もっとやさしくしてよ」
まるで今にも泣きだしそうな知的美人の声に僕は呆気にとられて手を放してしまった。威勢よく脱いでしまった体にタオルを巻いてベッドの端に座り直すと知的美人を見下ろした。
「ここに来て。私を抱いて。」
泣き出しそうなか細い声で何度も繰り返す知的美人を見ていてなんだか混乱してしまった。あの冷淡でふてぶてしかった知的美人が何でこうなってしまったのか理解ができなかった。
それとも何か企んでいるのだろうかとも思ったが、この際だから言うとおりにやってやろうかと思って、「あなたのそばに行って抱いてあげればいいの。」と聞いてみると嬉しそうに頷いた。一緒に横になって抱いてやると子供のように体を寄せて来る。一体どうなっているんだ。
「どうしたのよ、あなたって、・・。何時もの強気はどこに行ったの・。」
「弱気になることもあるの。特にあなたのような人に出会うと、・・。」
どういうことなんだ。僕はこの女にとってある種のヒーローなのか。まあ人間誰しも他人に寄りかかりたくなったり抱かれたくなったりすることはあるだろうけど僕はそういう機会も相手もなく突っ張り通して生きているが、そういう相手に出会える人は幸運なんだろう。
「ねえ、あなた、アダルトに出ていたの。」
僕がそう聞くと知的美人は小さく頷いた。僕は例の黒子だか入れ墨だかの辺りに手を伸ばした。知的美人はびくりと体を震わせた。
「ここね」
そう言うと小さく頷いた。
「ねえ、あなた、どうして欲しいの。」
「このまま抱いていて」
知的美人はため息のような声でそう言った。30女が40過ぎのおばさんに抱いていてもないもんだが、まあそういう気持ちになることもあるんだろう。
しかし、男は言えないよなあ。30だの40になって『そばに来て私を抱いていて、・・。』なんて殺されても言えない。大体気持ちが悪いだろう。そんなおじさんがそんなセリフを吐いたら、・・。
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