「ね、さっき店を出る時に入り口近くにいた二人連れ、AVに誘われてるって話していたわね。もしもAV女優になったらお金いっぱい稼げるのかな。私人気者になれるかも、その道で。」
 
 
このバカ女はどこまで底なしのバカだろう。巨大銀行の頭取の一人娘ががそんなものに出てスキャンダルになった日には日本経済が傾くかもしれないと言うことが理解できないのだろうか。僕はこのサルの頭を叩いて、「あんたは幼児番組に着ぐるみでも着て出ていればいいの。大体世間様に顔向けできるようなレベルじゃないんだから。分かったわね。」
 
 
そう言って気合を入れてやった。僕はAVの出演料など全く知識がなかったが、どう考えてもそうそう金になりそうな気がしなかった。よほどの売れっ子でもない限りせいぜい10万、20万の世界だろう。そんな程度のはした金で大事な体を世間様に晒したりできるものか。第一、男との絡みなんてもっての外だ。
 
 
「あの世界もね、けっこう厳しいらしいわ。高給はごく一部で普通は大体5万から30万くらいらしい。そこからプロダクションなんかに引かれて手元に残るのは半分もないそうよ。」
 
 
女土方がいきなりそんなことを言い出したので僕はびっくりしてしまった。この女、AVに出演したことがあるんだろうか。
 
 
「ずっと以前にちょっと付き合った子がバイト感覚だったんでしょうけどその世界に出入りしていたんで聞いたことがあるの。すぐに辞めたらしいけど結構ハードな世界だって言っていたわ。」
 
 
 僕はAVというのはあまり見たことがない。興味がないわけではないが、男の毛が生えたけつを見るのがおぞましくてどうも引いてしまう。しかしあの男優と言うのももっと低賃金で体力が要る仕事のようだ。まあ体を売り物にする仕事は世の中には数多いがどれもこれも僕には気が進まないものばかりだ。
 
  でも女同士ならそれはそれでいいのかもしれない。女土方とサルとからませてみても面白いかもしれない。そんなくだらないことを考えていたらタクシーは家に着いてしまった。
 
 
 部屋に入って一息つこうと思ったら猿が飛び込んで来た。どうしてこのサルは穏やかな雰囲気を求める僕を悩ませるのだろう。
 
 
 「ねえ、私たちがAV撮ったら売れるかも。ちょっとやってみようかな。どう。」
 
 
 このバカは全くどうしようもないバカだ。どうしてこうもレベルが低いのだろうか。ところが女土方がおかしなことを言い出した。
 
 
 「案外いいかもね。撮ってあげるから二人でやってみれば。」
 
 
 そう言うと戸棚からめったに触ったことのないビデオカメラまで取り出した
 
 
 
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