後任を探せと言われて女土方に相談したが、「それは私の分野じゃないわ。どんな人が良いのかあなたが選んで。あの子に手伝ってもらっても良いのかも。せめて面接のお手伝いくらいはするけど」と軽くかわされてしまった。
 
サルに手伝ってもらうくらいなら自分一人でやった方が早いし手間もかからないだろう。新人の条件だが、何よりも英語の仕事をするのでその能力がないと困る。
 
それが第一条件になる。それからきちんとそれなりの期間勤務してくれること、後はどうでもいいのだが、ここで働いているのはみんな女だから、いや、このみんな女という言い方にはやや語弊があるが、次も女性の方が良いとそんなことを考えた。
 
女土方にそう言うと、「募集は性別を問わないということにしないといけないけど最終的にはそれが良いのかもね。」と賛成してくれた。黙っていればいいのにクレヨンが口を出そうとしたので、「余計なことを言うとあなたの首を切るわよ」と言って黙らせた。まあ、この女はここを首になっても金融王の愛娘なので髪の毛一本抜けたほどにも感じなかろうが。
 
 大方の条件をまとめて社長のところに持って行ったところ、やはりこんな時期なのでそうそう良い条件は出せないと釘を刺されてしまった。確かにこの時期、この程度の会社が外国語くらいにそうそうの大金を出すなどということはあり得ないだろう。
 
  テキエディの後釜を雇ってくれるだけでもありがたいこととして我慢しないといけないだろう。あらかたの説明を終わって僕が帰ろうとすると北の政所様に呼び止められた。
 
 「採用するのは女性にしてね。あなたのところに男性なんて置くとまた騒動になるといけないから。」
 
  北の政所さんはそういうと軽くウィンクをして見せた。あの営業君のことを覚えていてそう言っているのだろうか。僕ももうあんな思いはごめんだ。
 
  あるいは盗撮男のことだろうか。確かにぼくにはおかしな男が寄ってくるようだが、それは僕の責任じゃないだろう。しかし確かに職場とは言っても男をそばに置くよりは女の方が良いには違いないが。
 
  募集広告を出そうと思ったが、それもあまり金をかけないようにということだったのでうちで出している英語雑誌に載せてもらうことにした。本当はジャパンタイムズあたりに求人広告でも入れればいいんだろうが、金がかかることはご法度と言うのでやむを得ない。
 
  他には会社のホームページに募集の書き込みをする程度で何とも心許なかった。金融王あたりに頼めばそれなりのをすぐに探してくれるんだろうが、これもまたとんでもないのが送り込まれそうなので控えることにした。
 
  もっともクレヨンあたりが余計なことを言うかもしれないが。いずれにしても数百万の年棒でどんなのが応募してくるのかちょっと楽しみでもあった。
 
 
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