『あのばか娘、もう逃げ出そうとしているのか。』
僕は跳ね起きて衣服を整えると廊下に飛び出した。クレヨンの部屋のドアが開いているので外に出たことは間違いなかった。玄関を開けるとクレヨンが門扉をよじ登ろうとしているのが目に入った。何所に行こうというんだか知らないが、もう少し知恵を使ったらどうなんだろう。サルでももう少し別の方法を考えるだろうに。
「何所にお出かけなの。」
僕が声をかけると門扉に摑まったままクレヨンが振り返った。何だか出来損ないのサルのようだった。
「門を乗り越えると警備会社に通報が行って大騒ぎになるわよ。無駄なことはしないで降りてらっしゃい。」
こいつも深窓の令嬢なんだろうにどうしてこうも下品なんだろう。昔の公家社会でもたまに山賊も真っ青なくらいの野蛮な豪傑が生まれたと言うが、それは種の保存のためだったということを何かの本で読んだことがある。そうするとクレヨンも何かの必要があって生まれた突然変異なのだろうか。しかしこんなのが出て来ても種の保存どころか絶滅に繋がりかねないような気がするがどうなんだろう。クレヨンは僕に呼ばれて渋々門扉から降りて来た。
「どちらにお出かけ。」
我ながら嫌味な口調だと思うような聞き方だった。クレヨンは勿論むっとした表情で僕を睨んだ。
「ここは私の家だと思っていたら何時から刑務所になったの。」
「ええ今日からよ。」
僕はクレヨンの嫌味を軽くかわしてやった。
「あなたのお父様が帰国するまでの生活条件を伝えたわよね。自分の家を刑務所のようにしたのはあなた自身よ。そこをよく考えてね。」
返事もしないで僕たちの前を通り過ぎようとしたクレヨンを女土方が呼び止めた。
「ねえ私達が使っているお部屋に来ない。あなたにはどうか分からないけど私達には十分くらい広すぎるお部屋だから一人くらい増えても大丈夫よ。」
クレヨンの動きが止まった。どうもこいつは女土方には他とは違った特別なものを感じているようだ。
「ねえそうしなさいよ。その方が私達も気楽だし。それにこれから先お父様がお帰りになるまでのことも話し合わないといけないし、ね。だからお出でなさい。」
誰もが手こずるあのクレヨンが女土方には一も二もなく黙って頷いた。女土方はビアンだから女を操るオーラのようなものを持っているんだろうか。
「じゃあ部屋に戻って支度をして来てね。」
女土方は軽く告げたがクレヨンは言葉を発することもなくただ黙って頷いた。部屋に戻って寛いでいるとドアをノックする音が聞こえてクレヨンが入って来た。かなりきわどい下着透けまくりの格好だったがどうもこいつには興味が湧かなかった。
「ベッドは二つだけど私はどこに寝ればいいの。」
クレヨンは部屋と僕等を交互に見ながらそう言った。
『お前みたいなサルは床でもどこでも寝ろよ。』
そう言ってやりたかったが黙っていると女土方が答えた。
「どっちでも好きな方のベッドを使うといいわ。私達はもう一つのベッドを二人で使うから。このベッド大きいから二人で使っても大丈夫よ。」
クレヨンはしばらく黙って僕たちを見ていたがそのうちに胡散臭そうに言った。
「ねえあなた達ってもしかしてビアンさんなの。」
「そうよ、どうして。驚いた。」
女土方はこれまたごく自然に応じた。
「ええ本当に。キモイわ。」
「どうして。別にあなたにも仲間に入れなんて言っていないしあなたの前でする気はないからいいじゃない。」
女土方は何とも飄々とクレヨンに言葉を返していた。
「あなた達って何だかそんな気がしたのよね。だって何だか二人ってずい分仲が良いし、佐山さんて妙に男っぽいし。男っぽいというよりも男そのものという感じがするわ。」
「彼女ね何ヶ月か前から劇的に変わったのよ。当のご本人は目が覚めたら女の体に変わっていたなんて冗談を言っているけど何か思うところがあったんでしょうね、彼女なりに。」
女土方は極めて常識的な見解を示したがクレヨンはまだ訝しがっている様子だった。知的レベルがサル並みなだけに動物的な本能で何かを感じるのかもしれない。
「ねえビアンってどんなふうにするの。ちょっと興味があるわ。ここでやって見せてくれない。」
こいつはやっぱりサル並みだ。
「見世物じゃないからお断りよ。でもあなたがしてみたいって言うのならお相手してもかまわないわよ。どうする。」
サルが、いやクレヨンが一瞬身を引いた。どうもこいつは女土方には気後れするみたいだ。でも女土方がするのならそれはそれでいいけど僕はこいつとは何となく遠慮したい。
「ちょっと考えさせて。少し勇気が要るわ、女同士って。でも佐山さんにも興味があるなあ。本当に女なのかどうか。」
何が勇気が要るだ。お前のやっていることの方がよっぽど勇気が要る。勇気というよりもクレヨンじゃあ蛮勇と言った方がいいかもしれない。第一僕はお前なんかには興味はない。
「私は遠慮するわ。あなたにとって私が女だろうと男だろうと興味本位以外の何物でもないでしょう。あなたが私を男と思うなら別にそれでもかまわないわ。あなたにそれを証明して見せる必要もないし、そんな気もないわ。」
「本当にかわいくないわね、あなたって。そんなに私が嫌なら抱きついて離れないであげようか。」
「どうぞ。でも投げるわよ。さっきみたいに。」
「ほらほらけんかしないのよ。お二人とも。この子まだまだ子供なんだからむきにならないで抱っこしてあげたら。かわいいじゃない、彼女。」
女土方が噛み合いでも始めそうな僕たち二人の間に入った。クレヨンはベッドの上でわざと太腿をむき出しにして僕に微笑んだ。本当にどこまで脳みその腐った女だろう。僕はいきなり立ち上がるとベッドの上に足を投げ出して座っていたクレヨンを押し倒して両腕を押さえつけた。突然のことにこわばったクレヨンに微笑んでやった。
「分かったわ、そんなにお姉さまに興味があるのね。じゃあお姉さまがかわいがってあげるから目を瞑りなさい。」
両足でクレヨンの足を挟みつけて右腕を左脇の下に敷いて動きを封じ左手でクレヨンの左手を握ってそうしても僕の右手は自由だった。
「さあじっとして。怖くないからね。」
クレヨンの顔の前で自由に動かせる右手を振ってみせるとクレヨンはさすがに声を上げた。
「ちょっと待って。いやぁ待ってよ、待ってぇ。」
クレヨンは体を捩って逃れようとしたが力は勿論僕の方がずっと強い。でもあまりこんなことをしていても仕方がないのですぐに離してやった。
「お姉さんを舐めたらだめよ。怖いんだからね。」
僕はちょっとからかい気味にそう言ったがクレヨンは真顔で「本当に凶暴な人ね。」と文句を言って口を尖らせた。
「そんなに子供みたいにじゃれていないで静かにしなさいな。」
女土方は落ち着いた様子で僕たちを嗜めた。クレヨンはまた自分のベッドに戻って音楽を聴き始めた。女土方はシャワーを使いにバスルームに入り僕はパソコンで遊び始めた。しばらくすると女土方がバスルームから出てきたので入れ替わりに僕がシャワーを使うことにした。男の頃から風呂には時間をかけなかった僕は女になってもそれは変わらなかった。ただ、髪を洗う時間だけはどうがんばってみても男だった時の二倍はたっぷりかかった。
よく男も女も風呂あがりは裸で部屋の中を歩き回るくせのあるのがいるが、僕は男の時からどうも素っ裸は落ち着かず好きではなかった。脱衣場で下着やTシャツを身に着けてバスタオルを首に巻いてバスルームを出た。
「なんだ、服を着ちゃったの。つまらない。」
ベッドに起き上がったクレヨンが声を上げた。
「せっかく佐山さんの裸が見られると思ったのに。」
このサルは本当に僕が女かどうか確かめようと言うのか。
「そんなに私の裸が見たいなら先にあなたが自分の裸を見せなさい。」
まさかと思って強気に出た僕が甘かった。敵は衣類の何たるかを理解しないサルだった。
「え、本当に。」
うれしそうに叫ぶとさっさと服を脱ぎ始めあっという間に裸になると僕の前でモデルのように一回転して見せた。何と言う考えなしだろう。知性枯れるとはこいつのためにある言葉じゃないだろうか。僕はあまりの恥じらいなしに顔が赤くなっていくのをはっきりと感じていた。
それでも若いだけあって見惚れると言うほどではないが、それなりにきれいな体をしていた。でもこいつとは御免被りたい。
「あらあ、顔を赤くしちゃってお年の割にはかわいいわね。」
このサルは人間様をおちょくりやがって。荒縄で引っ括って軒に吊るしてやろうか。
「さあ、あなたの番よ。約束だからね。」
サルのくせに約束なんて洒落たことを言うやつだ。
「バカなこと言わないで。そんなこと出来るわけないでしょう。」
「あらだってあなたが言い出したことよ。恥ずかしがらなくてもいいじゃない、女同士なんだから。」
気安く女同士なんて言うんじゃない。サルに同類呼ばわりされる覚えはない。こんな僕等のやり取りを大御所女土方はニヤニヤ笑いながら眺めていたが特に口を挟むわけでもなかった。
「ねえどうしたの。何時もご立派なことを言うのにお約束も守れないの。」
クレヨンは勝ち誇ったようにたたみかけて来た。
「いざとなると案外勇気がないのね、佐山さんて。」
ああこんなサルに言われるとむかっ腹が立つ。遂にここに至って女土方が仲裁に入った。
僕は跳ね起きて衣服を整えると廊下に飛び出した。クレヨンの部屋のドアが開いているので外に出たことは間違いなかった。玄関を開けるとクレヨンが門扉をよじ登ろうとしているのが目に入った。何所に行こうというんだか知らないが、もう少し知恵を使ったらどうなんだろう。サルでももう少し別の方法を考えるだろうに。
「何所にお出かけなの。」
僕が声をかけると門扉に摑まったままクレヨンが振り返った。何だか出来損ないのサルのようだった。
「門を乗り越えると警備会社に通報が行って大騒ぎになるわよ。無駄なことはしないで降りてらっしゃい。」
こいつも深窓の令嬢なんだろうにどうしてこうも下品なんだろう。昔の公家社会でもたまに山賊も真っ青なくらいの野蛮な豪傑が生まれたと言うが、それは種の保存のためだったということを何かの本で読んだことがある。そうするとクレヨンも何かの必要があって生まれた突然変異なのだろうか。しかしこんなのが出て来ても種の保存どころか絶滅に繋がりかねないような気がするがどうなんだろう。クレヨンは僕に呼ばれて渋々門扉から降りて来た。
「どちらにお出かけ。」
我ながら嫌味な口調だと思うような聞き方だった。クレヨンは勿論むっとした表情で僕を睨んだ。
「ここは私の家だと思っていたら何時から刑務所になったの。」
「ええ今日からよ。」
僕はクレヨンの嫌味を軽くかわしてやった。
「あなたのお父様が帰国するまでの生活条件を伝えたわよね。自分の家を刑務所のようにしたのはあなた自身よ。そこをよく考えてね。」
返事もしないで僕たちの前を通り過ぎようとしたクレヨンを女土方が呼び止めた。
「ねえ私達が使っているお部屋に来ない。あなたにはどうか分からないけど私達には十分くらい広すぎるお部屋だから一人くらい増えても大丈夫よ。」
クレヨンの動きが止まった。どうもこいつは女土方には他とは違った特別なものを感じているようだ。
「ねえそうしなさいよ。その方が私達も気楽だし。それにこれから先お父様がお帰りになるまでのことも話し合わないといけないし、ね。だからお出でなさい。」
誰もが手こずるあのクレヨンが女土方には一も二もなく黙って頷いた。女土方はビアンだから女を操るオーラのようなものを持っているんだろうか。
「じゃあ部屋に戻って支度をして来てね。」
女土方は軽く告げたがクレヨンは言葉を発することもなくただ黙って頷いた。部屋に戻って寛いでいるとドアをノックする音が聞こえてクレヨンが入って来た。かなりきわどい下着透けまくりの格好だったがどうもこいつには興味が湧かなかった。
「ベッドは二つだけど私はどこに寝ればいいの。」
クレヨンは部屋と僕等を交互に見ながらそう言った。
『お前みたいなサルは床でもどこでも寝ろよ。』
そう言ってやりたかったが黙っていると女土方が答えた。
「どっちでも好きな方のベッドを使うといいわ。私達はもう一つのベッドを二人で使うから。このベッド大きいから二人で使っても大丈夫よ。」
クレヨンはしばらく黙って僕たちを見ていたがそのうちに胡散臭そうに言った。
「ねえあなた達ってもしかしてビアンさんなの。」
「そうよ、どうして。驚いた。」
女土方はこれまたごく自然に応じた。
「ええ本当に。キモイわ。」
「どうして。別にあなたにも仲間に入れなんて言っていないしあなたの前でする気はないからいいじゃない。」
女土方は何とも飄々とクレヨンに言葉を返していた。
「あなた達って何だかそんな気がしたのよね。だって何だか二人ってずい分仲が良いし、佐山さんて妙に男っぽいし。男っぽいというよりも男そのものという感じがするわ。」
「彼女ね何ヶ月か前から劇的に変わったのよ。当のご本人は目が覚めたら女の体に変わっていたなんて冗談を言っているけど何か思うところがあったんでしょうね、彼女なりに。」
女土方は極めて常識的な見解を示したがクレヨンはまだ訝しがっている様子だった。知的レベルがサル並みなだけに動物的な本能で何かを感じるのかもしれない。
「ねえビアンってどんなふうにするの。ちょっと興味があるわ。ここでやって見せてくれない。」
こいつはやっぱりサル並みだ。
「見世物じゃないからお断りよ。でもあなたがしてみたいって言うのならお相手してもかまわないわよ。どうする。」
サルが、いやクレヨンが一瞬身を引いた。どうもこいつは女土方には気後れするみたいだ。でも女土方がするのならそれはそれでいいけど僕はこいつとは何となく遠慮したい。
「ちょっと考えさせて。少し勇気が要るわ、女同士って。でも佐山さんにも興味があるなあ。本当に女なのかどうか。」
何が勇気が要るだ。お前のやっていることの方がよっぽど勇気が要る。勇気というよりもクレヨンじゃあ蛮勇と言った方がいいかもしれない。第一僕はお前なんかには興味はない。
「私は遠慮するわ。あなたにとって私が女だろうと男だろうと興味本位以外の何物でもないでしょう。あなたが私を男と思うなら別にそれでもかまわないわ。あなたにそれを証明して見せる必要もないし、そんな気もないわ。」
「本当にかわいくないわね、あなたって。そんなに私が嫌なら抱きついて離れないであげようか。」
「どうぞ。でも投げるわよ。さっきみたいに。」
「ほらほらけんかしないのよ。お二人とも。この子まだまだ子供なんだからむきにならないで抱っこしてあげたら。かわいいじゃない、彼女。」
女土方が噛み合いでも始めそうな僕たち二人の間に入った。クレヨンはベッドの上でわざと太腿をむき出しにして僕に微笑んだ。本当にどこまで脳みその腐った女だろう。僕はいきなり立ち上がるとベッドの上に足を投げ出して座っていたクレヨンを押し倒して両腕を押さえつけた。突然のことにこわばったクレヨンに微笑んでやった。
「分かったわ、そんなにお姉さまに興味があるのね。じゃあお姉さまがかわいがってあげるから目を瞑りなさい。」
両足でクレヨンの足を挟みつけて右腕を左脇の下に敷いて動きを封じ左手でクレヨンの左手を握ってそうしても僕の右手は自由だった。
「さあじっとして。怖くないからね。」
クレヨンの顔の前で自由に動かせる右手を振ってみせるとクレヨンはさすがに声を上げた。
「ちょっと待って。いやぁ待ってよ、待ってぇ。」
クレヨンは体を捩って逃れようとしたが力は勿論僕の方がずっと強い。でもあまりこんなことをしていても仕方がないのですぐに離してやった。
「お姉さんを舐めたらだめよ。怖いんだからね。」
僕はちょっとからかい気味にそう言ったがクレヨンは真顔で「本当に凶暴な人ね。」と文句を言って口を尖らせた。
「そんなに子供みたいにじゃれていないで静かにしなさいな。」
女土方は落ち着いた様子で僕たちを嗜めた。クレヨンはまた自分のベッドに戻って音楽を聴き始めた。女土方はシャワーを使いにバスルームに入り僕はパソコンで遊び始めた。しばらくすると女土方がバスルームから出てきたので入れ替わりに僕がシャワーを使うことにした。男の頃から風呂には時間をかけなかった僕は女になってもそれは変わらなかった。ただ、髪を洗う時間だけはどうがんばってみても男だった時の二倍はたっぷりかかった。
よく男も女も風呂あがりは裸で部屋の中を歩き回るくせのあるのがいるが、僕は男の時からどうも素っ裸は落ち着かず好きではなかった。脱衣場で下着やTシャツを身に着けてバスタオルを首に巻いてバスルームを出た。
「なんだ、服を着ちゃったの。つまらない。」
ベッドに起き上がったクレヨンが声を上げた。
「せっかく佐山さんの裸が見られると思ったのに。」
このサルは本当に僕が女かどうか確かめようと言うのか。
「そんなに私の裸が見たいなら先にあなたが自分の裸を見せなさい。」
まさかと思って強気に出た僕が甘かった。敵は衣類の何たるかを理解しないサルだった。
「え、本当に。」
うれしそうに叫ぶとさっさと服を脱ぎ始めあっという間に裸になると僕の前でモデルのように一回転して見せた。何と言う考えなしだろう。知性枯れるとはこいつのためにある言葉じゃないだろうか。僕はあまりの恥じらいなしに顔が赤くなっていくのをはっきりと感じていた。
それでも若いだけあって見惚れると言うほどではないが、それなりにきれいな体をしていた。でもこいつとは御免被りたい。
「あらあ、顔を赤くしちゃってお年の割にはかわいいわね。」
このサルは人間様をおちょくりやがって。荒縄で引っ括って軒に吊るしてやろうか。
「さあ、あなたの番よ。約束だからね。」
サルのくせに約束なんて洒落たことを言うやつだ。
「バカなこと言わないで。そんなこと出来るわけないでしょう。」
「あらだってあなたが言い出したことよ。恥ずかしがらなくてもいいじゃない、女同士なんだから。」
気安く女同士なんて言うんじゃない。サルに同類呼ばわりされる覚えはない。こんな僕等のやり取りを大御所女土方はニヤニヤ笑いながら眺めていたが特に口を挟むわけでもなかった。
「ねえどうしたの。何時もご立派なことを言うのにお約束も守れないの。」
クレヨンは勝ち誇ったようにたたみかけて来た。
「いざとなると案外勇気がないのね、佐山さんて。」
ああこんなサルに言われるとむかっ腹が立つ。遂にここに至って女土方が仲裁に入った。