風邪 は、どこにでも存在するヒトライノウイルス(HRV)が原因だといわれていました。
このウイルスが鼻水、くしゃみ、咳などの不快な症状を引き起こしていると考えられていたわけですが、実はウイルスによってヒトの体内の遺伝子活性が変化し、それによって症状が引き起こされるのだと、カナダおよびアメリカの研究チームにより報告されました。
一般的な風邪の30~50%はHRVが原因であるとされています。
ただの風邪というと軽視されがちですが、風邪は万病の元といわれるように、喘息、気管支炎、肺気腫などの下気道疾患がある人等の場合、風邪のウイルスが急性発作の引き金となり、生命に関わることもありますから侮ってはいけませんよね。
今回の研究では、35人のボランティアにHRVまたは偽ウイルスのいずれかを注入して、感染前および感染後に鼻上皮から擦過検体を採取して行われました。
DNAのマイクロアレイ分析の結果、感染後8時間では遺伝子変化は認められませんでしたが、2日後には約6,500の遺伝子に変化がみられ、活性が亢進するものもあれば鈍くなるものもあったということです。
ウイルスの存在による影響が特に大きかったのは、気道炎症の一因となる抗ウイルスたんぱく、および炎症性化学物質を作る遺伝子だったそうです。
また、最も活性の高かった抗ウイルスたんぱくviperinの値は細胞内で2倍以上となって、HRVの複製がviperinによって妨げられることも示されました。
研究チームによると、これは、人体がウイルスから身を守るメカニズムとしてこれまで知られていなかった部分だということです。
これは2通りの風邪の治療法につながるとしていて、1つは、症状を引き起こす炎症性遺伝子を特定し、その活性を阻害する方法、もう1つはウイルスとの戦いを助ける鍵となる分子を特定し、その分子の能力を上げたり、外部から補ったりする方法なのだそうです。
また、別の研究では、小児の肺感染症による入院の主な原因となる呼吸器合胞体ウイルス(RSV)が、症状が治まった後も体内に残り続けることが判明しました。
これが喘息などの慢性気道疾患の原因となるとも考えられていて、新しい治療標的となる可能性もあると期待されています。
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Gene Expression Profiles during In Vivo Human Rhinovirus Infection
