Voigtländer Vito Ⅱa の操作方法 | 山と料理と猫、そしてクラカメな日々の備忘録

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山登りを通じて、日々の山行き、お料理、猫のポン王子、そしてクラシックカメラの記録を綴っていきます。

「写真の出口」の話をしたばかりなのに、その舌が乾かない内に「写真の入口」の話をしてしまうという…(笑)。

その節操のなさをご容赦くださいませ(^^;;;

 

今回は1951年に製造販売されたフォクトレンダーの大衆機「ヴィトーⅡa」をご紹介します。

フォクトレンダーは世界最古のドイツの光学機メーカーでした。

こちらは、人形町の「カメラのロッコー」で購入しました。

 

 

ドイツのカメラは「改良型」には「a」とアルファベートが付きます。「Ⅱ型」の「改良型」という意味ですね。

ちなみに「コニカⅢA」は「コニカⅢ」の改良型ということです。

コニカは1950年代当時、フォクトレンダーの輸入販売代理店でした。

そうした理由からなのか、自社製品もドイツ式のネーミングに則ったのでしょうね。

 

 

戦前から続く「ヴィトー」シリーズはこのように蛇腹式のフォールディングカメラです。

フォールディングカメラだから、普段はレンズを収納しています。

カメラケースが無くても、こうしたハンドストラップがあれば、十分使えますね。

サイズはスマートフォン程度の小ささですので、一眼レフみたいに仰々しくストラップで首から提げるのは野暮でしょう。

むしろサコッシュなどに忍ばせて、いざというときにおもむろにレンズを展開させて撮影するというのが粋ですね。

 

 

 

 

軍幹部にはホットシューがあるくらいで、スッキリとシンプルです。

左のノブはフィルム巻き戻しノブで、表面にはフィルムのリマインダー、要するにメモ帳みたいなダイアルですね。

そして右側前面にフィルムカウンター、背面にはフィルム巻上げレバーがあります。

フィルム巻き上げレバーですが、「分割巻上げ」が可能です。

フォクトレンダーのヴィトーとかヴィトマチックが登場するYOUTUBEなどを見ていると、一回巻き上げで巻き上げている操作を多くお見受けします。しかもフィルム巻上げの角度がかなりありますので、ちょっと使いにくそうに見えてしまいます。

けれども実は分割巻上げができるのです。

だから実際にはとても使いやすいです。

 

 

左側のレバーですが、これはフィルム巻き戻しノブをポップアップさせるものです。

フィルム撮影が終わったら、このレバーで巻き戻しノブをポップアップさせて、フィルムを巻き戻します。

巻き戻しノブのポップアップと同時に、フィルムのロックが解除され、巻き戻しが可能となります。

この状態で巻き戻しますが、巻き戻しノブを回すと、フィルムカウンターの表示が連動します。

いまどれくらいまで巻き戻したのかがこれで一目瞭然です。

巻き戻した後、真ん中の丸ポッチをスライドさせて、フィルムカウンターの表示を調整します。

日本の便利な一眼レフは巻き戻して裏蓋を開けると同時にバネ仕掛けでフィルムカウンターがリセットされますが、こちらはそんな便利には出来ておりません(笑)

とはいえ、このお作法もなかなか可愛らしいなと思ったりして(笑)

 

【ご注意】

とても便利ではありますが、フィルム巻上げレバーは、自動巻き止め式ではありませんので、まだ巻き上げられるからと、貧乏根性丸出しで一枚でも多く撮影しようとムリに巻き上げ続けると、フィルムが千切れてパトローネから分離してしまいますのでご注意を(笑)

 

 

さて、軍幹部はシンプルでシャッターボタンが見当たりませんね。

実は前蓋の上部(フロントベット)にあったりします。

 

 

手前がシャッターボタン、奥…というか前面がレリーズを取り付けるためのレリーズ孔。

 

 

この場所にシャッターボタンがあるというのはちょっと面食らいますが、実際使ってみるとちょうどよい場所にあるなと感じます。

シャッター音は「シャクッ」という音ですね。

シャクシャクした感じで、歯切れがよいです。

 

 

レンズシャッター式なので、鏡筒周りにいろいろな機能が集中しています。

1950年代に流行したライトバリュー(LV)方式。

ライトバリューの値にあわせると、自動的にシャッター値と絞り値が適切に組み合わさるという、いまの時代でいうところの「プログラムオート」みたいな感じでしょうか。尤も、メカニカルに手動でございます(笑)

 

 

これはちょっと気が利いてるな…と思ったのが、この脚です。

小さいポッチみたいな脚ですが、このおかげで三点支持で自立します。

どこか置きやすい場所に置いてセルフタイマーなんかも可能。

 

 

底面の三脚穴はもともと大穴だったので、「エツミ」のアダプターを装着させました。

 

 

撮影体制に入る際には、底面にあるボタンを押して、前蓋を静かに展開させます。

 

一般的に、フォクトレンダーの機種って、ゴツゴツメカメカしていて、ちょっとどうかなぁ…というイメージです。

けれどもこちらのヴィトーⅡaのデザインは、スーパーBESSAの流れを汲むまことに洗練されたデザインです。

ゴツゴツカクカクしたレチナとは対照的な曲線を多用した女性的な印象です。

ちょっとアールヌーボーを髣髴とさせる雰囲気の曲線美。

美しいですね。

 

 

さてふたたび鏡筒周りの解説を。

距離表示はフィート表示です。おそらく外貨を稼ぐために北米に輸出されたモデルなのでしょう。

MXVにある切り替えレバーは、写真の通り、通常のモード、ストロボフラッシュモード、セルフタイマーモードの切り替えレバー。

シャッター速度と絞り値の数値も表示されています。

シャッターはフィルムを巻き上げたらチャージされるといういわゆる「セルフコッキング式」ではありません。

フィルムを巻き上げたらその都度、「シャッターチャージレバー」を上げて、チャージする必要があります。

 

ところでシャッター速度ですが、最高速度が300分の1秒。

500分の1秒が無いという無理のない設計です。

ちなみに本機は「目測カメラ」です。

なので、通常の撮影は「焦点距離15フィート、絞り値F11~16」を基本として、「写るんです」感覚で撮影します。

ちなみに接写はできません。接写は一眼レフに任せましょうwww

シャッター速度が300分の1秒までしかないため、日中で使用するフィルムのiso感度はiso100が適切ではないかと思っています。

iso400ではLV値が15とか16になってしまい、とてもキツイです。

かといって、iso200もちょっとキツイかな…と思います。

 

よく「目測カメラ」というとiso400がベターという見解をお見受けしますが、ことヴィトーⅡaについては、iso100がベターと看做します。

ローライ35はシャッター速度が500分の1秒までありますので、iso400でも十分対応可能ですが、こちらはそれでは対応しきれないと思っています。とはいえ、ネガカラーであれば、露出オーバーである分には画像の情報を拾いますので、あまり細かいことを考えなくても良いのかもしれません。

 

 

ファインダーはシンプルな目測ファインダーです。

ゴチャゴチャ情報だらけで煩わしい昨今のデジカメに慣れた目からすると、まことにシンプルすぎてちょっと不安になるかもしれませんが、この明るくてシンプルなファインダーを見たら、やっぱりこれが良いなと感じてしまいますね。

また目測式カメラなので、極端な話、コンタクトレンズや眼鏡を付け忘れても、十分撮影が可能です。

被写界深度と距離感さえしっかりと把握していれば、目なんか見えなくたって写るんです。

いちいちピントあわせをしなくても良いという意味で、一手間省けますしね。

 

 

普段は三脚穴にハンドストラップを装着して、サコッシュに忍ばせています。

あまりガツガツしない雰囲気での撮影ですので、スナップシューティングでもあまり警戒されずに自然な光景を切り取れます。

 

 

レンズは銘玉の誉れ高いカラースコパー50mm/3.5。

とてもシャープに写ります。

 

 

お散歩カメラにちょうど良いフォクトレンダーヴィトーⅡa。

シャッターはプロンター社製のものが着いています。

 

 

撮影が終わって、前蓋を閉じるときはこの二つのボタンを押しながら静かに閉じます。

 

以下、作例です。横浜駅より。

フィルムはフジカラーC200(iso200)です。

 

 

 

 

 

 

ああ、最近写真ネタばかりで、料理ネタが疎かですね。。。

料理は毎日作っていますが、「ごはん、みそしる、青菜の炊いたん、魚、香の物」という組み合わせが定番で、これといった変ったネタがありません(笑)

ただ、気が向いたら、また料理ネタをアップさせていただきます(^^;

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モーツアルト「メヌエット K1」。

 

ピアノとチェンバロの聴き較べ。

 

フォクトレンダーはモーツアルトが生まれた年にウィーンで創業しました。

創業当初は王侯貴族相手のオペラグラスで売り上げを伸ばしたそうです。

カメラが発明される以前はオペラグラスや顕微鏡などで随一の光学機器メーカーでした。

その後1960年代に日本の安くて高性能なカメラに駆逐されてしまい、メーカー自体が消滅してしまいました。

そして21世紀のいまは日本のコシナが商標権を獲得しています。

 

今日も一日、お気持ちやすらかに…。