2018.8.13~奥穂無念の敗退 | 山と料理と猫、そしてクラカメな日々の備忘録

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山登りを通じて、日々の山行き、お料理、猫のポン王子、そしてクラシックカメラの記録を綴っていきます。

2018年8月13日、お盆休みに入りましたが、公務員のカミさんには世間で云われるお盆なるものが存在しません。

早い段階から、この日に休みを取ってもらい、予てから予定していた奥穂高岳へ登ろうと予定を立てていました。

 

懸念された台風13号も既に通過した後で、台風14号もおそらく本州へ進路をとることはなかろうということで、今度こそは「抜けるような青空の下、爽快な稜線歩きを楽しめる」…と楽観視していたのです。

 

…が、しかし、そこは今年一番の雨男グッサンなのです!

そうはカンタンに問屋は卸さないことくらい、薄々勘付いておりました(笑)

 

12日の夜、ひととおりの仕度を済ませて、マイカーで自宅を後にしました。

そのとき夕食をちゃんと作って食べておけばよかったのですが、仕度でいっぱいいっぱいで、手が回らなかったのですよ。

 

途中どこか食事できるところを…と探していたのですが、座間街道沿いにはあまりよいお店がないのです。

カミさんは「カーボローディングしたいから、ガッツリごはん食べたい!」っていうから、いろいろ探したのですが…。

しかたなく、「すき家」で済ませようかということになり、立ち寄ったのが運のつきなのでした。

カミさんは牛丼、わたしはゲンを担いで「うな玉丼 特盛」を頼みまして…。

注文を取りに来るまでが異様に長かった割に、注文したらあっという間に出てきましてね。

ひと口、うなぎを頬張ると…これがひどく生臭いし、タレはべったりと甘く舌の裏に纏わりついて…。

これ、確かに安いけど、これならわざわざお店で出さなくてもよいのでは…という内容で(トホホ…)。

胸焼けはするし、喉は通らないしで、えらい苦行なのでした(すき家ファンの方、すみません)。

これならマヨネーズの油と酸味で味覚をマスキングしてしまえっ!…と、マヨネーズを追加注文し、無理矢理胃袋に入れましたが…胸がえらく焼けて気持悪かったです。オエッ(;´Д`A

 

さて出鼻を挫かれてしまった今回の山行き、天候もなかなかしびれる展開でした。

 

圏央道から中央道に入り、途中大雨に見舞われたかと思えば、満点の星空の下を気持ちよく走り去ったりして、めまぐるしく天候が変わりました。

そして13日の午前1時頃には沢渡駐車場に到着。

上高地行きの始発バスが出るまでのあいだ、ゆっくり車中泊。

 

ちょっと蒸すので、クルマの窓を少し開けて寝ていたら…なんだか冷たい雫が顔の上にポタリポタリ…。

「・・・・・!!?? えっ!?なんだなんだ??」

「おおお、雨が降ってきたぁ~(x_x;)」

…てなわけで、窓を閉めて寝る羽目に。

 

バス始発の時間になり、ターミナルに向かったら、結構な行列。

それでも臨時の増便でなんとか乗ることができました(;´Д`A

 

上高地につくころには、雨も上がって、微妙な空模様に。

 

 

山頂はガスガスで、何も見えません。

 

カミさん:グッサン、こりゃまさかのまさかで、雨雲がグッサンの後を追ってやって来たねぇ!

 

わたし:今年は筋金入りのアメオトコだからな(ヽ(;´ω`)ノ こりゃ、もしかしてもしかしたらだ。

 

カミさん:こりゃ、もしかしてもしかしたらだから、万が一のことも考えなけりゃねぇ。

 

 

 

 

 

ひと泣きしたあとの涙目のような曇り空。

 

 

この日の目的地、奥穂高岳を目指して、とにかく進むことに。

 

 

 

徳澤園に着くころには、太陽が燦燦と照りつけていました。

 

 

とりあえずここで朝食を取ることにしよう。

 

 

まずは飲み物を。

 

 

ダイヤレモンサイダー。

さっきのバスの中で、途中のコンビニで購入したサンドウィッチを食べていたから、今回は朝定食ではなく、もうすこし軽食的なものを…。

 

 

おお!1958年上映の映画「氷壁」の小道具だ!

 

 

カミさんはホットミルク、わたしはコーヒー。

 

 

カミさんはハチミツトーストを注文。

わたしは……おい、写真撮っていないじゃないか(笑)

わたしは、カレーなのでした。

 

 

お腹もくちたので、先に進みます。

途中、横尾で小休止、その後、本谷橋でまったり休憩。

…と、本谷橋でまったりしていたら、下山者みんながずぶ濡れだということに気付きました。

本谷橋から先の急登の九十九折を登っている途中で、本降りの雨に。

だから、徳澤園から先の写真はありません。

急いで、レインウエアに着替えて、ザックにもレインカバーを装着し、フル装備状態に。

カメラもザックの中にしまいこみました。

 

カミさん:グッサン、グッサンがレインウエアを着込むと、なぜだか雨は止むから、蒸してつらいだろうけど、このままの格好で登ってくだされ。

 

わたし:くぅ~、悔しいけれど、ここ4月以降のジンクスはそんな感じだな。雨雲に愛されるってのも、困ったもんだな(苦笑)

 

本降りの雨はなかなか止みそうにもなく、しばらく苦行の山行きなのでした。

そしてSガレに到着するころ、ようやく雨脚が弱まったものの、雨雲が途切れる気配もなく、あたり一帯は真っ白のガス。

Sガレを過ぎたあたりで、今回の目的地である奥穂高岳は断念することに気持が固まりました。

 

わたし:こんなしつこい雨雲の中、いまはよいけれど、このあとのザイテングラートでどしゃ降りの雨に万一遭遇してしまったら、奥穂どころか、自殺行為だ。強行したら、それこそ明日の新聞記事の格好のネタだろうね。

 

カミさん:そうだねぇ。このガレ場ですら、つるつるすべるのに、あのおっそろしいザイテンだったら、きっと、命はないだろうねぇ。

 

…と、そんなことを話しながら、涸沢ヒュッテに到着。

 

カミさん:白旗上げて、ここで手を打つ?

 

わたし:ああ、だな! 敗退、大いに結構! 賢明な選択だ。

 

わたしたちは、ヒュッテ入口の前で目を交わすと、迷うことなくチェックインの手続きを進め、予約していた奥穂高山荘へはキャンセルの電話を入れたのでした。

 

世間では「勇気ある撤退」という言葉があります。

切歯扼腕で歯をギシギシと震わせながら、悔しさに涙を飲むという撤退がそうですね。

 

しかし今回のわれわれは、感情的にはもっと冷めたものだったかもしれません。

 

ドラマのストーリー展開の手の内が徐々に明らかになるにつれ、「ああ、こんな展開だったら仕方ないね。よくわかった。」…という感じの諦めなのでした。

「諦め」といっても「ギブ・アップ」という後ろ向きのニュアンスではなく、「明らかになることで晴れて諦めがつく」…といったどちらかといえば前向きな諦めでしょうか。

いずれにしても、ここ涸沢ヒュッテでの山時間を楽しむことにしました。

 

 

 

チェックインを済ませたら、小雨が降るなかテラスで生ビールとおでん。

 

 

 

涸沢ラーメンにポテチ(笑)

 

空いていたテラス席が、ちょうどトイレの臭いが仄かにあがってくる場所だったので、ちょっと残念でしたが、それ以外ではすき家以上の満足感(笑)!

 

 

山頂を見上げると、はるか彼方のガスの中。

食事を済ませたら、案内されたお部屋へ入り、ちょっと頭痛がしたので、薬を飲みました。

 

 

それから程なくして、泥のように眠ったのでした。

次に目覚めたのは午後3時ころ。

ヒュッテの屋根を叩きつけるものすごい雨音で目覚めたのでした。

ふと、外を眺めるとどしゃ降りの雨。

予定ではこの時間に奥穂高山荘に到着するはずでしたが、危ないところでした。

早め早めの見切り判断が功を奏しました。

もし慾深い根性で、諦め切れずに、歪んだ征服欲ばかりに囚われていたのだとしたら、どうなっていたことでしょう。

いまごろはきっと、ザイテングラートの道半ばで遭難していたかもしれません。

あるいはもうすこし遅れていたら、涸沢ヒュッテ手前のガレ場で猛雨に遭遇し、四苦八苦していたかもしれません。

 

……そんなことを考えると、今でもゾッとします。

 

まさに「危機一髪」なのでした。

 

山はいつだって、われわれに大切なことを教えてくれますね。

 

夕食の時間がはじまるまでの長い休憩時間、激しい雨の音に耳を傾けながら、山岳雑誌の「岳人」や「山と渓谷」「ワンダーフォーゲル」などのページをめくりながら、ゆっくりと過ごしました。

 

 

夕食の時間になりました。

 

 

夕食はお味噌汁が美味しかった。

茄子を一度油で揚げ焼きにして、それを具に使っていて、コクがあって美味。

惣菜は動物性たんぱく質が多かったです。

 

 

しばらくすると、長野県警より登山の安全のためのガイダンスがありました。

 

 

 

夕食が終わり、床についたのが午後7時過ぎ。

雨天のなか進んだ登山の疲れで、ふたたび泥のような眠りに落ち込みました。

 

(…つづく)

 

゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚

 

 

 

ブラームス「交響曲第3番第3楽章」。

 

バルビローリの指揮にて。

 

今日も一日、お気持ちやすらかに…。