・・・登山における公募隊(こうぼたい)とは、登山者を募りエベレスト等への高峰へ挑む登山隊の事。
 商業隊商業公募隊と呼ばれる事もある。
 誰でも参加出来ると言うイメージにより、ネガティブに捉えられる事もあるが、各国の登山協会等による大型遠征隊が激減する状況もあり、高峰への登頂を目指す為の手段として認知されつつある。
 1990年代前半迄の公募隊は、従来の登山隊等の組織に縛られ無い個人同士が、ネパール政府への登山料や資材運搬費の頭割りを図る為に結成する互助会的な組織であったが、1990年代後半以降、ベテランガイド(登山家)が商業目的で組織するツアー形式の隊が主流となった。
 「尼婆羅」ことネパール連邦民主共和国、通称ネパールは、南アジア共和制国家
 2008年王制廃止。
 東、西、南の三方をインドに、北方を中国チベット自治区に接する西北から東南方向に細長い内陸国である。
 国土は世界最高地点エベレスト(サガルマータ)を含むヒマラヤ山脈及び中央部丘陵地帯と、南部のタライ平原から成る。
 ヒマラヤ登山の玄関口としての役割を果たしている。
 面積は約14.7万km。
 多民族多言語国家であり、民族カーストが複雑に関係し合っている。
 又、宗教ヒンドゥー教(元国教)、仏教アニミズム等とその習合が混在する。
 農業を主たる産業とし、ヒマラヤ観光等の観光業も盛んである。
 後発開発途上国であると分類されている。
 入山料の支払いから、現地シェルパ本来「シェルパ」ってネパールの少数民族を指すんだけど、実際、辛抱しんちゃんもそうだったが、登山の<強力{歩荷}登山の荷物運び>職名みたいな感じと思ってたが)の雇用、物資の調達等登頂に必要な準備や手配(ツアー代金により内容の濃淡はある)を主催者が一括して行う事から、所属組織の規模の大小や有無、年齢や性別、時には経験すら問われずに高峰へのアクセスが可能となった。

 入山料なんだが・・・ネパール側からエベレストに登る際は25000ドルかかる(2015年12月2日時点で1ドル123円なので、入山料は日本円で307万5千円)!
 因みにアフリカのタンザニアにあるキリマンジャロ(標高5895m)は70ドル(8610円)、南米アルゼンチンにあるアコンカグア(標高6960m)は1000ドル(12万3千円)。
 何でエベレストそんなに高い(世界一高いからか?)のかって言うと、ネパールにとって入山料は貴重な外貨獲得源だから。
 因みにチベットからエベレスト登れば1万ドル(それでも123万円)で済む。
 これは入山料を中国政府が管理しているので中国の政策に左右されるから。
 尚、アコンカグアが高いのは、非常時に無料でレスキューが受けられるので、その分が含まれていると考えれる。
 でも大抵は環境保全目的で登山客数を抑える為に、高めの金額設定になっている。

 但し、隊員同士の言語、技量等がマチマチである為、高山への登頂に必要不可欠な意思疎通が図る事が難しい。
 参加者は、登頂資格を有している事が前提となるが、登山技量が劣る参加者も見られる為、時としてスケジュールが過密になる事がある。
 ワンシーズンに何隊も組まれる公募隊の存在は、登山者の渋滞を生み、行動時間を浪費し、酸素の消費を早め、天候の急変に対応出来無い等致命的なアクシデントを招くリスクも高まる。
 2000年代以降、日本語のホームページにてエベレストへのツアーを募集する国内・外の会社が増えている。
 日本円で数百万円支払えば、登山に関するあらゆるサポート及び登頂の資格が得られる状況は、素人でも参加出来る「ちょっと厳しい観光ツアー」と言う印象を与えるが、エベレストに整備された登山路がある訳でも無く、依然として長時間の雪中行軍、岩壁の登攀能力、高山病への適応等高いレベルの登山技術が要求される状況には変わりが無い。
 エベレストの標高8000m以上の高地には、回収される見込みの無い登山家の遺体がゴロゴロしている。
 1996年にはエヴェレスト大量遭難と呼ばれる、2つの商業登山パーティーから一夜にして8名の遭難死者を出す惨事が発生し、日本人女性登山家難波康子も死亡している・・・




 感想を先に書けば「映画館で高い金払って3Dでエベレスト遭難のドキュメンタリーを観た」です。

 『エベレスト 3D(原題: Everest)は、2015年制作のアメリカ合衆国イギリス映画
 1996年エベレストで起きた大量遭難事故の映画化。

 監督は『ハード・ラッシュ』『ザ・ディープ』のアイスランド人・バルタザール・コルマウクル

 主演は『ターミネーター: 新起動/ジェニシス』『猿の惑星:新世紀』のジェイソン・クラーク

 他の出演に『メン・イン・ブラック3』でヤング・エージェントKを演じたジョシュ・ブローリン

 『ナイトクローラー』『複製された男』『ラブ & ドラッグ』のジェイク・ジレンホール

 『ターミネーター4』のマーカス・ライト、『タイタンの戦い』『タイタンの逆襲』のペルセウス、『アバター』のジェイク・サリーを演じたサム・ワーシントン

 『シーズ・ソー・ラヴリー』のモーリーン、『フォレスト・ガンプ/一期一会』のジェニー・カランを演じたロビン・ライト

 『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』の侍女サーベ、『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』のエリザベス・スワン、『プライドと偏見』のエリザベス・ベネットを演じたキーラ・クリスティーナ・ナイトレイ等がいる。
 「どんな映画だったの?」と問われれば、冒頭に書いた通り「エベレスト遭難のドキュメンタリー」としか答え様が無い。
 実際、映画作品としての感想としては、残念ながら低い。
 「え!?これで終わり??」ってな感じで終了したし。
 特に悪役が蔓延るとか、恋愛問題でバタつくとか、エベレスト登頂を我先に競争するとかみたいな、ある意味テンプレート(因みにテンプレートとは、鋳型、雛型、定型書式と言う意味の英単語。何かを作る時の元になる定型的なデータやファイルの事。コンピュータの中では情報をコピーして部分的に修正する事が簡単に出来る為、よく使うパターンをテンプレートとして予め用意しておき、生産性を向上させると言う手法が良く使われる。例えば、最近のワープロソフトには冠婚葬祭の挨拶文が文書ファイルとして沢山同梱されており、宛名等を入力するだけで簡単にこうした文書を作成する事が出来る)な設定が全く以てありゃしない、いい意味でも悪い意味でも。
 なのでサッサと準備してチャッチャと登山して、スパッと下山する・・・この一連の行動パターンを記録したみたいな映像となっている。

 勿論、その陰でドラマチックな設定もちゃんとあるにはある。
 ジョシュ・ブローリン演じる医学者ベックがエベレスト登山する際に、奥さんから「今度山登るなら離婚よ!」と言われているにも関わらず、登山の欲望に勝てずエベレストに登りに来たとか、キーナ・ナイトレイが演じた主人公の妻は妊娠中で、作品中に娘が生まれそうな状況(因みにこの妻も登山家)だとか、主人公が遭難する原因になった郵便局員のダグ・ハンセンは、エベレスト登る為、地元の子供達から寄付金迄貰って遣って来たとか色々あるにはある・・・ある・・・あるんだけど・・・あくまでもオマケ程度の存在感なのだ・・・
 
 それとこれは映画の評価にもあったけど「この映画、態々3Dにする必要あったの!?」って感想。
 これには辛抱しんちゃんも同意見だ。
 いや、勿論3Dの映像は凄いよ。
 でも・・・いや、本当に申し訳無いけど・・・この映像なら2Dでマトリックスやらスター・ウォーズ観た時の方が余程迫力があったし、インディペンデンス・デイとかの方がスリル満点に感じた。
 エベレストの、ヒマラヤの雄大な自然は確かに映るしそれはいいんだけど、意外とその一番の売りになる筈だった雄大な自然を写すシーンがそんなに出て来ない・・・人間とかの会話シーンに3D使われても参るのだがって思った。
 又、先に書いたけど、この作品はドキュメンタリーみたいに思えるんだが、これが映画として悪い意味で悪影響を及ぼしてる気がする。
 要するに、3Dでエベレストの大自然や遭難シーンをスペクタクル満点に撮影しなくて、単に猛吹雪の上酸素無くなって雪中に倒れ死ぬシーンを淡々と事実ありのまま撮影したみたいな感じに出来てしまっている。
 なのでドキュメンタリーみたいに感じる・・・確かにワザとらしくどうでもいいドラマとか危険なシーンをジャンジャン導入するのも如何なものだと思うし、元ネタが実際にあった遭難事故だからそれをなぞったからそうなって出来たって言われれば仕方無いけど・・・本当に淡々としている・・・そんなんならもっとこう映像美を増やしても良かった様な気がしてならない・・・又、俳優も地味かも知れないが、知る人ぞ知る有名俳優を何人も使用している割に、役者の個性が全然感じられなかった・・・群像劇だから仕方無いのかも知れないが、何かこうもっと役者の個性を引き出す演出とかも出来なかったのかって感じる。
 そんなんなら本当に誰もよー知らん役者ばっか集めて同じ作品撮っても何も変わらなかった気がしてならない。
 ある程度有名な役者揃えたのは、予算があったのと、商業的成功に繋げたかったからだろう。
 でも何かこう勿体無い使い方かな~

 チョロッと目立ったのは森尚子演じる難波康子。

 難波康子(なんば やすこ)は日本登山家
 日本人女性では田部井淳子に次いで2人目のエベレスト登頂者(47歳・1996年5月10日)となり、日本人として田部井淳子に次いで2人目の七大陸最高峰登頂者(全世界では44人目、全世界女性では7人目)となった。
 1980年加藤保男のガイドによりモンブランに登頂。
 その後、加藤保男は1982年にエベレスト冬季登頂を果たしながら遭難死亡してしまう。
 その加藤保男を記念して、康子はエベレストクラブを設立、会員数は1986年当時604名に上った。
 1987年エベレストクラブで出会った難波賢一と結婚。
 会社勤務の傍ら、各大陸の最高峰に挑戦し続け、1993年ヴィンソン・マシフに登頂、六大陸最高峰を制覇。
 1996年5月10日エベレストに登頂を果たし、47歳で七大陸最高峰を制覇した。
 これは当時エベレスト女性登頂者の最年長記録であった(2000年にポーランド出身のAnna Czerwińskaが50歳で登頂したことで記録は更新された)。
 然しエベレスト登頂後の下山中に猛吹雪に遭い、翌5月11日最終キャンプ地から僅か300m離れた地点で死亡している事が確認された。
 多くの著名登山家はスポンサーを獲得する事で膨大な資金を調達し、登頂後にメディアへの露出を高めて、更なるスポンサーを獲得し、次の大きな挑戦に繋げて来た。
 それに対し難波康子は費用の全てを自分の収入から支払った。
 これは1990年代後半頃に始まった商業公募隊と言う形式により、費用・手続面でのハードルが格段に下がったと言う背景もある。
 スポンサーを一切つけなかった難波康子はメディアへの露出が無く、他の登山家と比較すると全くの無名な登山家であった。
 ビジネスパーソンとしてのキャリアを中断させる事無く、自身の収入と休暇だけで七大大陸最高峰登頂を成し遂げたと言う面では、新しいタイプの登山家であった。
 但し、七大陸最高峰の内、六峰に登頂していたが、何れも加藤保男長谷川恒男等に引率されたガイド登山だった・・・

 映画の中ではちょっと体力に難がある(中年女性だから?)って演出がある所が遭難のフラグ(小説ドラマ漫画アニメシミュレーションゲーム等のストーリーにおいて、後に特定の展開・状況を引き出す事柄を指す用語である。伏線と同義であるものの、フラグは比較的単純で定型化された「お決まりのパターン」の含意があるとされる。本来はビデオゲーム、特にアドベンチャーゲーム等の、プレイヤー<読者>の選択によってストーリーが分岐し、異なる結果を齎す遊戯全般において、それ等の論理構造を記述するコンピュータプログラミング上の基礎的な概念「フラグ」に由来する。兎に角ストーリーの先読みが可能な演出があれば何でもフラグ扱いされる可能性がある)になっている。
 但し・・・「ああ、日本人がいるなあ」ってな存在感しか無い・・・良く調べると結構な有名人なのに・・・

 ストーリー的に核になってるのは遭難事件なんだけど、その背景には、エベレスト登山の商業化がある。
 エベレスト登山は、1893年頃から計画が立てられる様になり、1953年には世界で始めて登頂が行われた。
 この頃は一部の冒険家や国家的プロジェクトによる冒険であったが、バリエーションルート等の困難な攻略が一巡すると経験を積んだ登山家の攻略対象では無くなり商業化が進む事になった。
 特に1985年に富豪ディック・バスがガイドによる全面サポートを受けた登頂に成功し、その過程を記した「セブン・サミット」を出版すると富豪や高所得者による七大陸最高峰の人気が沸騰。

 七大陸最高峰地球上にある7つの各大陸(厳密には大州)で最も標高が高いである。
アジア:エベレスト(8848m)
ヨーロッパ:エルブルス(5642m)
北アメリカ:デナリ(6194m)
南アメリカ:アコンカグア(6959m)
アフリカ:キリマンジャロ(5895m)
オーストラリア:コジオスコ(2228m)
南極:ヴィンソン・マシフ(4892m)
 但し、コジオスコよりインドネシアのプンチャック・ジャヤ(4884m)の方が高いとか、ロシアのエルブルスよりイタリア&フランスのモンブラン(4810m)をヨーロッパ代表に入れろとか等の意見もある。
 何せオーストラリア最高峰のコジオスコは、スキーリフトが頂上付近迄あり誰でもハイキング気分で上れる山だし・・・

 1990年代半ばには公募隊による登山が主流となり、アマチュア登山家であっても必要な費用を負担すれば容易にエベレスト登山に参加出来る様になった。
 予めシェルパやガイドによるルート工作や荷揚げが行われる為、本来なら必要であった登攀技術や経験を持たないまま入山する登山者が現れると共に、ルートが狭い場所においては登山家が渋滞し、長時間待つ様な事も増えた。

 要は
 エベレスト登山が商売になっちゃったと! 
 これはお金さえ払えば素人でも「世界最高峰迄連れてってあげますよ♪」を売り文句に商売出来る様になりましたと!
 そうなったら「え!世界一の山に登れるの!俺でも!?だったら金払うから連れてって!」ってな事言い出す物好きな金持ちやらテレビクルーとかが沸いて出て来ちゃうと!
 そんなビジネスと化したエベレスト登山をガイドする会社もそりゃ当然出て来るよと! 
 それが今回のお話・遭難の中心である登山コンサルタント会社の人達&お客様ですよ~!
 ってヤツなのです。