近隣の百貨店で今、北海道物産店がおこなわれており、おおにぎわいである。
私も、明日行く予定だ。
狙いは北海道ラーメン・・。なんでも海の幸を十分につかったラーメンが1200円くらいで食べられるとの事だ。ラーメンにしては少し値段も張るが、それだけの価値があるのだろうと思い、その百貨店に明日向かう。
1999年夏・・・24歳の時のことである。
一本の電話がなった。
「・・はい。」
いかにもグーたらしてますといわんばかりのやる気の無さで電話にでた。
「○○君?(俺の名前) 俺俺タカユキ(偽名)・・・お~~~~久しぶり・・。」
半分・・もうろうとしていた意識の中、いっきに雲がなくなり快晴になったかのように。
「おおおおおおおおおおお~~~~~~~~久しぶり~~~。」
彼とは俺が浪人時代予備校の寮にいた時に同じ釜の飯を食べた仲だ。
いつも予備校にいかず、ナンパにくりだし、常に玉砕・・・。
偏差値よりも男を磨くことに競い合った奴だった。
そういう奴とも大学3年のとき一度遊んだきりで1年ぶりに声をきいた。
「何やってんの?学校卒業して立派な会社に就職したってきいたけど。」
「そうなんだけど・・やめたんだ。仕事。」
「辞めたっていっても、新卒だからこの前の4月入社だから4ヶ月しかたってねぇ~~よ。」
「あ~~そうそう。何もきかんでくれ~~~。」
よっぽど彼のプライドを傷つけることがあったのだろう。
「それでさぁ~~今、会社の寮でさぁ・・今月で出てかなくちゃいけないんだ。
○○君(俺のこと)、神奈川の厚木で一人暮らししてるんでしょ?」
「あ~してるしてる。」
大体の検討がつき、俺も困ってる友人を、できる範囲で助けたいと・・・。
「俺の家こいよ。 今ちょうど一人で話す人もいないし、日本語忘れそうだし・・。
・・・こいこい。一緒に住もうぜ、昔みたいに。」
「ありがとう。」
早速友人は今月までにもかかわらず、次の日に引越しを行った。よっぽどいづらかったのだろう。レンタカーで浦安から厚木まで・・・。
厚木に着いた彼を出迎え、彼の懐かしい顔は、これから二人で暮らす事の楽しみを感じさせた・・どことなく浪人時代の思い出が溢れ出してきた。
引越し自体思ったより荷物はすくなく、場所もとらなく1時間程度で終わり、
落ち着いた彼に
「どうしたのよ?」
「いや~~やりたい事みつかってさぁ・・。それ目指そうかと・・・。」
彼はそいつの宝とも言えるギターを引きながら、尾崎の曲を歌う。
俺はまさか~という思いになった『こいつ~~まままさか、尾崎豊のようにミュージシャンになる・・とかいうんじゃねぇ~だろうな。』
それでも歌う。
「盗んだバイクで走りだす♪行き先もわかぬまま~~15の夜~~♪」
『そうだよな行き先もわからなくなって、俺んち来たんだもんな~~。盗んだものは、かえせよな。』と切実に思いつつ・・。
歌い終わり、ムードも盛り上がり
俺は『言うのか言うのか・・ミュージシャンになりたいと・・・・。頼む頼むからやめとけ。』と思った。更に心の中で訴えた。
『お前も知ってるだろう・・あの40代すぎても縮れたロンゲを束ねギターを片手に歩く疲れきったおっさん達を・・。』
・・・と、友人の心に届けといわんばかりに心の中で叫んだ。
「○○君(俺のこと)~~~俺さぁ~~~。」
『言うのか・・言うのか・・よし言ってしまえ・・。お前の坂の上から転げ落ちる転落人生を俺はみてみたい。』
「俺さぁ~~~ホテルマンになりたい。」
『ぬぁに~~全然普通じゃねぇ~~か。俺はそんな普通なこと聞きたくねぇんだよ。もっと無謀な事言えよ。』・・と思いつつ
俺の口からは「へぇ~~~~~~~。」
そして俺の口はとまらない。
「うんうん・・そうだよね、やりたいことするのが一番だよね。やっぱ、最後まで夢あきらめなければ現実になるよ・・俺まじそう思うよ。」
友人の新たな門出を祝い、二人仲良く飲み屋に行こうと我が家から外にでると・・・
一匹のカブトムシが友人の肩にとまった。
そして友人と同居生活がはじまった。