栗って果物なのだろうか?それとも野菜?

疑問に思いながら、栗入りどら焼きを口に運ぶ。

アンコの甘さで舌が充満し、栗が歯に粉々に粉砕され、アンコと栗が俺の舌で混ざり合う。ん~~~~デリシャ~~~ス。

その舌が記憶し、また欲しくなる・・・栗どら焼き。


1999年春・・

俺は神奈川の厚木に住んでいた。第二新卒という就職浪人組みの一人として就職活動をしながらバイトにあけくれていた。バイトはAV専門販売店それはエロエロ屋さんである。週6日勤務で時間は18時から深夜0時まで6時間労働である。そのバイトも軌道にのりつつ2ヶ月がたとうとしていた。

それと平行し、就職活動。俺は大学4年時に主にまわっていた金融業界、その中でもその年は絞り、銀行一本にした。都銀、地方銀行、第二地方銀行、信託銀行・・さまざまな銀行の説明会にアポをとり、予定を組んだ。

複数選考に望み、筆記試験、適性検査、何回もの面接・・・。

それを繰り返す、数ヶ月であった。

中には俺の実家の方の地方銀行の選考にも望んだ。

その銀行は俺の実家から車で約40分のところに本社があり、地域に密着し、地元の企業を対象とした俺にとっては幼い頃から知っている見慣れた銀行でもあった。

筆記試験、適性検査を運良く通過し、第一次面接。面接官一人に対して俺一人、集団面接にくらべると気が楽な部分があり、緊張するも競争相手が近くにいないということで自分という人間を十分にだせたような気がした。

特別他の人より秀でるものがない自分であったが、昨年から金融業界をまわり、今の経済の個々の銀行が生き残りをかけている時代に自分も少しでもいいから貢献し、銀行業の真髄を極めたいという事を語った。

面接官は笑いもせず、うなずくだけ・・・。そしてコピーした履歴書の隅に何かメモっていた。

俺は『あ~~~あ・・・ここも駄目そう・・・。』・・・と少し弱気になった。

そして最後に面接官の質問はというと・・。

「彼女いる?」

質問も意図はわからないが・・俺もそれなりの受け答えをした。

「はい、おります。結婚までとは、まだ考えておりませんが、今現在は仲良くさせていただいてます。」

それで一次面接は終わった・・。

数日後・・・大雨の日・・バイトを終え帰宅。

ポストの中に一次面接通過、最終の役員面接の通知が来ていた。

俺は嬉しさのあまり、夕飯を食べたにもかかわらず、吉野家に牛丼を食べに・・・。

役員面接は1週間後・・俺は特別何の準備もせず、ありのまま素直に答えようと思っていた。

・・・・・・・・・そして役員面接当日。

昨晩から一睡もできず、面接にのぞんだ。

面接官は4人か5人くらいだったと思う。

緊張で体が固くなるも、今までの何回もの面接の経験と慣れで、口だけは動いている。今思うと自分は何言ったのか全く覚えておらず、ただただ覚えているのは、

質問内容はどれも、志望動機とか、会社でやりたい事とかではなく、確認のようなことばかりだった。

異動は可能か? 今の経済の銀行のあり方は大変だが、それでもやっていけるのか? 家族構成は?等が大半。

すべてイエス、ノーで答えられる質問が多かったような気がした。

まぁ・・すべてイエスと答えたのだが・・・。

そして約40分にわたる面接が終了し、

1ヵ月後・・・内定という通知がポストの中に入っていた。

それは暑くなる兆しが見え隠れする1999年8月だった。