神経質そうな上司がいた時のこと
その上司は 偶然にも私と同い年の同僚を怒鳴り始めた
大きな声で何度も何度も叱責を浴びせている
しかも私が仕事をしているすぐそばで…
これは何の嫌がらせ?
内心困り果てたものの 野獣と化した上司に入り口を塞がれ
立ち去ることが出来ない
だんだん腹が立ってきた
これは立派なパワハラだぞ
呆れると同時に ある嫌悪感と恐怖が蘇ってきた
小さな部屋中響き渡るような上司の大きな声が
子どもの頃の記憶を呼び起こす
私の父は怒ると大きな声で怒鳴り
母はヒステリックに突然声を張り上げ
子どもだった私は驚いて萎縮する
大きな声は人を攻撃する立派な武器で
心と記憶にいつまでも突き刺ささる
そしてトラウマとなって苦しめる
大きな声を出すとさぞ気持ち良かろうよ
快楽に関与するホルモンであるドーパミンが出て
さらに大きな声を張り上げ続ける
その上司はその後もいたる所でパワハラをしてたらしい
年配の女性が私にこう言った
『あの人 当たり前のように自分もパワハラされてきたんでしょうね…』
『………』