大好きな人が旅立った日
雲ひとつない、真っ青な空。
昨日、祖母はこの大空へと旅立ちました。
97歳。大往生ではありますが、
小さい頃から
大好きで、大好きで、
随分可愛がってもらったおばあちゃんが
この世から居なくなってしまったと思うと
心にぽっかりと穴が空いてしまったような
何とも言えない気持ちになります。
戦中、戦後を逞しく生き抜き、
私たちと一緒に暮らすようになってからは
家族の為に自分の出来ることを見つけては
まるで黒子のように支え、助けてくれた
おばあちゃん。
とにかくチャーミングで、
口数は少なく、あっさりしているのに
茶目っ気たっぷりの冗談を言ったりして、
どこに行ってもファンが出来ちゃう
おばあちゃん。
自分はちっとも欲しいなんて言わないし、
贅沢もしなかったけど、
綺麗なものが大好きで、
私の指輪や時計を見ては、
満面の笑顔で『綺麗なな~』って話す
おばあちゃん。
数年前から介護が必要になり、
母がずっと頑張ってくれていました。
実家に帰るたびに、
母とおばあちゃんのやり取りを見るのが
楽しみになるくらい、
おばあちゃんは母に完全に身も心も委ね、
二人の間には誰も入ることが出来ないくらい
固く強い絆を感じました。
本当に美しい姿でした。
何度かおばあちゃんとのお別れが近い事を
感じざるを得ない時がありました。
母は、
「まだおばあちゃんのいない人生を送る
自信がない」
と、電話口で泣きました。
でも、そこから1年以上でしょうか、
体はどんどん小さくなっていきましたが
おばあちゃんは
以前よりも意識がクリアになり、
頑張ってくれました。
去年の年末に帰った時は、
小さなあんぱんを一生懸命食べながら、
「故郷の長崎に行きたい」
って話してくれたり。。。
まだまだおばあちゃんは、
きっと100歳まで生きてくれるって
どこかで思ってしまっていた私。
色んな事情から年が明けても実家に帰れず
テレビ電話でしかおばあちゃんとは
会えませんでした。
そして、
容体が急変し
4月15日になって間もなく
おばあちゃんは
母に抱きしめられながら
息を引き取りました。
この寂しさと悲しみは、
例えようのないものですが
おばあちゃんの最後の姿が
あまりにも美しくて、
寿命を全うして
生き抜いたんだと言うことが
わかりました。
お肌も柔らかくて、ツルツルで、
まるで楽しい夢でも見ながら
眠っているかの様な、そんな姿でした。
大袈裟ではなく、
20歳くらい若返った様な顔。
『あぁ、もうやり残した事はない。
行ってきます!』
そんな声が聞こえてきそうでした。
お通夜、告別式と、
昔からおばあちゃんを知る
ご近所の皆さんと家族に見送られて、
火葬場に行くまでは雨だったのが
骨上げをする時には嘘の様に晴れて。。
まるで初夏を感じさせる様な
爽やかな陽気の中、
97歳の生涯を立派に終えて
おばあちゃんは旅立ちました。
最後の最後まで、生ききる事を
私たちに教えてくれたおばあちゃん。
私もあなたの様に
強く、優しく、生き抜いて生涯を終えたい。
そう思いました。
生命が巡っているのであれば
姿形は違っても
いつかきっとまたどこかで、
おばあちゃんに逢えると信じています。
だからお別れの言葉は言いません。
大好きな、大好きなおばあちゃん、
本当に、本当に、ありがとう。