語り尽くせない思いを 4 | ニシダ☆テツヤ NSR

語り尽くせない思いを 4

天野選手には大変失礼なことをしてしまったと思います。

僕が3位決定戦を棄権したこと自体も天野選手にとって後味の悪いことだったかもしれませんが、それよりも今思えばあの時の僕の態度は少々礼を失していたと反省しています。

3位決定戦の準備をしていた天野選手に僕は「この試合を棄権する」と伝える前に

「おめでとう、3位決定やで」

と吐き捨てるように言ってしまいました。

準決勝戦で起きた不正への怒りに心を支配されていたとはいえ、選手として相応しくない失礼な態度だったと思います。

その事には現場ですぐに気付き、帰港前にできるだけ丁寧にお詫びさせていただいたつもりですが、ここで重ねてお詫び申し上げます。

3位決定戦を棄権しましたことと、失礼な態度をとってしまったこと、本当に申し訳ありませんでした。




天野選手には本当に申し訳なく思いますが、あの時の僕の立場としては、3位決定戦を棄権することはやむを得ない選択であり、今も後悔はしていません。

準決勝を事実上勝利した僕は、本来ならば決勝戦に進むはずだったのです。

主催者が何らかの裁定を下さないといけなかったという立場はよく分かりましたが、不正を働いた選手の言い分を認める訳にはいきませんでした。

故意にヘダイをチヌと偽ったわけではなく、あくまでも過失であった。

従って自分の勝利に間違いはない。

それはいくらなんでも納得できる話でありません。

もし僕がそのまま3位決定戦に進んでしまったら、それらすべてを認めると受け取られてしまう恐れが大いにありました。

もちろん棄権した時点で僕の順位は無くなるものと思いましたし、確定していた賞金を得る権利も捨てることになることも覚悟の上でした。

このことに関してはもしかしたらご批判の声もあるかと思いますが、僕にとっては重要なことであり、大きな意味があってのことだったということは多くの方にご理解いただけるのではないかと思っています。