料理は佳境に入り、メインへ。段々品数が少なくなって、こちらは2品。私も
完全に復活したわけではないが、それでもお腹がいっぱいになる気配が無い。
母からも「美味しいね。」という言葉が出ない。北海道の人間は、飛び切りの素材
をそのまま食べてこそ最高と思っている節がある。私としては素朴な食べ方も悪
くはないと思う。だが、ひと手間かけたからこその美味しさもあるのだと気付いて
欲しい。そう思うから、ここをスケジュールに組込んだ。
肉は鴨、付合わせにエシャロットとセップ茸、
スライスしたマロン
スズキは食べ易い魚だ。ズッキーニの花と茹でたキャベツを貝から取っ
たソースで頂く。これまた画像で分かる通りに、あっという間の量だった。
そして鴨。実はもう少し大きいはずだったが、娘も私もお腹の調子が万全
ではない。サイズをやや小さめにして貰った。この辺りで、やっと食べた
という気がして来ている。次にデザートが来るので残りの胃袋は取ってお
こうという作戦。
鴨はシャランのもの。鴨の中の最高級と言われている鴨だ。どこか他
の店でも食べた記憶があるが、この店では2回目。鴨は肉に弾力があり、
かみ砕く力が弱っている母が食べるのはどうか?と少し心配したが、こ
れもすっかり綺麗に食べてくれた。「ほんのちょっぴりしか出ないね。」
と皮肉を言うでもなく、食べ続けている。年齢の割には食欲は衰えてい
ないみたいだ。以前TVで見た話だが、長生きするお年寄りは良く食べる
そうだ。母も長生きして、90歳でもパリに来るってありかもと思った。
やっとお腹がいっぱいになって、次はお楽しみのデザート。実は前回
のSolaのデザートだけは物足りないままで終わった。ランチのせいかも
知れないが、とっても地味な一品で見た目も華やかさから遠かった。パ
ティシエが他にいるのか、それともデザートまで𠮷武さんが作るのか?
今回もディナーだけあって一品という事はなかったが、一つはシャー
ベット、もう一つはアイスクリームを使ったもの。ヴァリエーションと
してはやや弱いなと感じる。
パッションフルーツのシャーベット
ココナッツのムースの中に
りんごのアイスクリーム、コンポート添え
サクッと焼いた軽いパイの中は、アイスクリームの他に
キャラメリゼした林檎とヘーゼルナッツ
最後のこれは忘れてしまった
これはお茶の友のクッキー
母と私は緑茶で
一人当たり約110€(約15,400円)のコースを食べ終えての感想。品数や
一品一品に掛ける丁寧な仕事は素晴らしい。だがエラそうな事を言わせて
貰えば。今回の食事で何が印象に残ったか?と聞かれたら、やはりフォア
グラの味噌漬けと鴨だろう。その他は美味しかったが、はっきりと印象に
残るほどのインパクトがない。それは量的な問題もあれば、舌に残った味
の記憶の薄さとも言えるのではなかろうか。
そして、もう一つ難を言えば盛付け。アペタイザーの③と④は凝ってい
ると見るべきであろうが、まるで‟容器”のような大きさ。何故あれにし
なければならないのか?理由が分からない。似たようなことが、もう一つ
の日本人シェフでミシュラン一つ星「Restaurant Kei」(レストランケイ)
にも言えるような気がする。画像で料理を見る限り懐石料理のごとく量が
少ない。ただ料理のディスプレイは美しい。まだ一度も訪れたことは無い
が、今の所行く気がしない。まっ、こんな事を言っていてもチャンスがあ
れば私はきっと行くだろう。このお店もなかなか予約が取れないと聞く。
帰りのタクシーは見覚えがある地下トンネルを通り、超早かった。今ま
で乗った中では一番ではなかろうか。ホテルの近くに着いて14.10€。料金
的にも最安だった。