前回は美しいからと無邪気に植えられた桜が如何に史跡に災厄を及ぼしているかについて報告した。この問題は全国的に深刻な問題で、愛媛県の史跡湯築城にても問題になっている。
こんかいも植生が史跡に災厄を及ぼす話であるが、今回は前回と違って、史跡に生じた植生を的確に管理することなく、放置したために災害が発生した事例を紹介します。
これは愛媛県宇和島市の宇和島城の石垣が木に押されて崩壊した例です。石が転げ落ちているところがよく見えるでしょう。
そしてその上にモシャモシャちしているのが木の根っこです。これは楠の根っこで、石垣の傍に生えたため、根が石垣に邪魔されて真っ直ぐ伸びることが出来ず、何重にも湾曲した状態で押え込まれていた。でも日々、石垣に圧をかけ続け、石垣は耐えきれず、とうとう崩壊したのである。根は1立方センチメートルあたり10kg圧をもつそうだから、石垣もたまらないですね。石垣と反対側の根は奇麗に真っ直ぐ伸びていました。
さてこの木は楠ですから、わざわざ植えた物とは考えられず、飛んできた種がたまたま生長したんでしょうね。
そうそう石垣沿いの植生と言えば、わざわざ植えた物も多々ありますね。きれに等間隔に植えられていたり、銀杏や欅など紅葉を愉しむため植えた物も多いです。これらもやっぱり桜と同じで、その根が石垣を圧迫しているにもかかわらず、葉が美しいからと言って、除伐に反対する人が多い。
だが多くの常識のある人はきちっと話をすれば、惜しみながらも大概理解してくれますよ。
タチの悪いのは誰だろ思う。お判りでしょうね。