今回は九州大学大学院教授の「いわゆる渡来説の今」の紹介。
田中さんは考古学と人類學の両方をこなせる両刀使いで、このテーマにぴったりの人。
現日本人が渡来人からなるとの説は江戸時代からある説で、戦前戦後ともこの説が支配的であった。
戦後この説を人類学からさらに強化主張したのが金関説で、考古学者との論争で、男性中心に渡来、混血し、中心的人種となったとする。
その後金関説にのって人類学者のなかには、1.000年間に100万とも300万人とも言える人々が渡来してきたと唱える者も表れる始末の状態に、それは本当かとの疑問をもつ。
結論的には氏は渡来人の数は予想外に少ないと考えられ、それが縄文人の少ない玄界灘沿岸の縄文人と混血して「渡来的弥生人」となり、それが各地に農耕とともに拡散して更に現地縄文人と混血して「弥生人」となったと考えている。