昨年、西予市で開かれた石庖丁製作実験は石庖丁に関する様々な問題を提供した。
課題をもった製作だから、なんとか形になって、稲穂を摘めれば目的達成なんて、最近はやりの子供のお遊び的考古学、博物館の人集めポピュリズム事業とはひと味違ったものでした。
かっこよく言えば課題探求の石庖丁つくりでした。
そこでの大きな課題となったのは、形、ことに半月形タイプ(外湾刃でも直線刃でも)の石庖丁が奇麗に作り上げることが出来なかったことにある。
ことに両端部の成形が難しく、どんなに丁寧に慎重にヤサシク打撃を加えても、パキリと意と無関係方向に折れてしまう。捨てるのが勿体ないから、割れた部分を活かして造ると、端部が帯状や楕円状になってします。
左右がシンメトリーに仕上がることもなく、歪な形になってしまう。
関西のを見ると、うまく半月形に仕上げられているものが多く、伊予のに比べれば美形かつ規整的である。
列島の中央構造線上に展開する同じ素材なのになんでこんなに違うのだろうと悩んだもんだ。
そこで考えられるのは、おなじ緑色片岩といってもどこか素材が違うケースも考えられるし、製作技術が拙いかとも考えられるし、最後まで磨き上げる根性に欠けているとも考えられる。
そこで、実際体験してみようと緑色片岩が分布し、その地の主要な石庖丁素材となっている吉野川、鮎喰川、紀ノ川の河原を訪れる次第となった。
これが昨年の皆で造った作品。見慣れた人からみると、なんともと思うんだけどね。