韓国国立海洋博物館の近くに、かの有名な東三洞貝塚があり(朝島への曲がり角)、随分以前に訪れた時は草ぼうぼうの状態であったが、これが、遺跡部分は草地に、前面に海を望むよう整地され、小展示館が付設されていた。
展示館にはさまざまのものが展示されているが、小生の興味を引いたのは二点。
一つにはピッチャンと記された鰒おこし。ケースごしなので詳細が見えないが、一つの鯨骨製品は、幅もあって、合格品に見えた。貝塚から鰒貝も出土しているが、その出土量、大きさなどはよく判らない。展示されていた鰒貝は小形のものであったが。勒島からは鹿角製の鮑起しが出土しており、列島の鮑起しも他の各種漁具と合わせて考察するにこのあたりに出自が求められるのであろうか。
他の一つは粟、稗の出土とこれに関連するかもしれない片刃の加工石斧の出土である。米以前に雑穀の伝来を考えるとすると、それは言うまでもなく北からの南下であろう。そうすると北で畑作文化複合としてパックになっていた磨製石斧類の南下が考えられるが、どうもここの片刃石斧はちゃんとなっていない点に違和感がある。また出土の伐採石斧は韓半島新石器時代の型式のもので、一体化性がない。これをどう考えるかだが、その前にもっと間違いない事実の認定が欲しいね。
展示館入り口、左上はこの館のシンボルマークの貝製仮面
整備された貝塚の跡と海
粟と稗(参考品)