☆☆☆☆☆∞
ジェイミー・ベル
ジュリー・ウォルターズ
監督 スティーブン・ダルドリー
ダルドリー天才。
リトルダンサーを見た。
この映画は「めぐりあう時間たち」のスティーヴン・ダルドリー第一作監督作品(めぐりあう~は第二作)
はじめての作品だけあってとてもフレッシュ。
躍動感があって主人公が可愛くて、映像がチャーミング。
人物ひとりひとりに説得力と現実味があって、どこにでも有り得る状況(日常)を切り取って、素直にさりげなくまっすぐ描いてる。
感動を呼ぶのは、人とか(自分を含め)人生はいいもんだなって、改めて自分の境遇なり生活なり人間関係を重ねて再発見できるから。
ダルドリーの映画に出てくる人はみんな弱くて、誰かに遠慮したりやつあたりしたりしている。
そういう人間たちが、悩みながら、迷いながら、流されそうになりながら起こす行動が観ているこちら側に響く。
わかりやすく泣かせてはもらえない。
でも観た人ひとりひとりの中には風味の違う感動をもたらす、ダルドリーは天才ちゃうか。。
映画は監督や脚本で選ぶとハズレがない。
ダルドリーはほんとオススメです。
ぜひ。
一昨日と今日と2回見た。
1回目はうるうるうるうる。。。と涙腺がゆるむ程度で最後に涙が1筋2筋って感じだったんだけど。。。
2回目は号泣。
こんな映画もめずらしい。
私の好きな映画の特徴に、「泣かせない映画」っていうのがある。
いいシーンで、普通ここ泣くとこ!ってところをさらっと描く。こっちはそこでは泣けないんだけど、涙の元が涙腺にたまる。で、映画終盤につれて涙の元がどんどんたまっていって、
最後にしんみり泣く。っていうのが好き。
大げさな仕掛けはないけど、複線がきっちり張られている映画。
監督の「待って待って、ここで泣いたらもったいないよ。まだまだ」って言う声が聞こえてきそうな気がする。
リトルダンサーもそういう映画で、大好きな映画になりました。
ここから先はネタばれありです。
炭鉱の町の少年ビリーは、母親を亡くしたところ。
炭鉱夫の父と兄、祖母と暮らしている。
イギリスは階級社会で炭鉱の町って言うと、労働者階級。
生活が厳しく、おりしもサッチャー首相の炭鉱封鎖政策の真っ只中。
父と兄は労働環境の改善を求めて数ヶ月に及ぶストライキ中。
祖母は痴呆が始まっていて、家庭の雰囲気は最悪。
そんな中、父の勧めで習っているボクシング教室に、臨時でバレエ教室が行われることになる。
バレエに興味を持ったビリーは父に隠れてバレエを習い始め、彼の素質を見抜いたバレエ教師はロイヤル・バレエ学校のオーディションを受けることを進める。
理解のない父親、自分の将来に対する希望と自分の環境をとりまく現実、ダンスが好き!な自分の気持ち。。
ビリーがね、前半ずっと我慢してるんですよ。
父親のことも、自分の家庭のことも理解して、思いやってる。
炭鉱の町の少年は、炭鉱夫になるのがあたりまえだから、そういう自分の将来のこともうすうす感じてる。
「しょうがない、でも・・」と一抹の希望(自分の才能)を捨てきれないまでも、周りの事情を優先させるビリーがせつなくてかわいくてかっこいい。
で、映画にちりばめられたビリーのダンスがすばらしい!
バレエを覚えたて、っていう設定だから、うまいとはいいがたいんだけど、自分の感情が怒り、喜び、情熱、ひたむきさがにじみ出ているダンスなんです。。
こんなダンスを見せられたら。。親父でなくても心動かされてしまいますよ。
完全に母の気持ちで見てました。
私は子供を生んだことがないけれど、自分よりも子を優先させるっ気持ちっていうのはこういうことをいうのかな。。と疑似体験できました。子供はうんどかんないけんな。
最後はハッピーエンドです。
最後の30分はもうたまりませんよ。
大げさな演出はないんだけど、親父の顔を見ただけで泣いちゃう。
私は自分の父親、好きじゃないけど、映画を見てる間、思い出してしまいました。
久しぶりに会ってもいいかな。。ぐらいの気持ちになって。。
私にはすごいことなんです。
親のみなさん、親になる皆さん、これは必須科目です。