カフェ・プーランク開店前の珈琲店めぐりで京都の喫茶A(比較的新しい店ですが敢えて「喫茶A」という店名になっています。)に入った時、注目したのが奥行のあるカウンター。
当然、カウンターに座ったのですがその快適さは特筆ものでした。
喫茶店のカウンターといえば、狭くて店によっては隅の方が物置替わりになっている…といった何となく肩が凝ってくるようなイメージがあったのですが、喫茶Aのカウンターは広く(恐らく奥行80センチぐらい)、まるで 一人でテーブル席に座っているような快適さなのです。
その時、これは絶対にわが店のプランに取り入れようと思いました。実際、この喫茶Aには及びませんがカフェ・プーランクのカウンターは奥行62センチとかなり広いものとなっています。 本当は、奥行80センチぐらいにはしたかったのです店の構造上 テーブル席との兼ね合いでこれが精一杯だったのです。
ところでカウンターの利用について、さる本にはこんなことが書かれていました。
「喫茶店のマナーとして初めて入った店でいきなりカウンターの中央に座るべきではない。
カウンターの中央に座るのは何回か店に通った後にすべきである…」云々。
これは、マスターの立場からすると確かに頷ける点もあります。
ある意味、初めてのお客様と正面から向き合うというのは、大げさに言えば少々緊張感がともなうのです。ですから特にマスターと話がしたいという場合でなければ最初はカウンターの隅の方かテーブル席に座ってもらった方が有難いかなという感じはします。(これはあくまで店側の我儘ですが…)
今ではカフェ・プーランクの一番の常連さんのYさんがカウンターにたどり着くまでに要した来店回数はおそらく20回は下らなかったでしょう。笑い Yさんは最初、6人がけ大テーブルの一番窓際、要するに一番カウンターから離れた場所に座っていつもヘッドフォーンで音楽を聴いておられました。当然、話しかける隙もなく帰り際に「ありがとうございました。」というのが関の山。こんな状態が何か月か続いたでしょうか。次にYさんは同じ大テーブルの少しカウンターよりに座られるようになりました。この頃になると来られた時に挨拶ぐらいはするようになっていたと思います。
そして更に時間が経過しある日、Yさんは、ついにカウンターに座られるようになったのです。ただし、カウンターの一番端に。ただこの頃になるとヘッドフォーンをつけられていることは殆どなくなっていたように思います。その後、来店する機会が触れるごとにカウンターの端から少しずつ中央に移動。そして最終的に中央を2席ばかり外した場所に居場所を決められました。今後、この席から移動されることはないでしょう。勿論、現在Yさんとは毎日のようにいろいろな話をするようになっています
前置きが長くなってしまいました。本題のカウンターの効用についてです。
まずは、カウンターがマスターと話がしやすい場所であるという点。これは当たり前すぎて書くまでもないことです。ふたつ目は、カウンターに座ったお客様どうし(この場合既知の人ではなく別々に入ってきた方)が喋れる機会があるということ、 最後は、隅の方に座れば静かに一人で本を読んだりするのに適しているという3つの点があると思われます。
注目したいのはふたつ目のたまたまカウンターの隣に居合わせたお客様どおしの関係についてです。
これが男性と女性では大きく状況が違ってくるのです。女性は、見知らぬ方どうしがカウンターで隣同士になった場合でもちょっとしたきっかけがあればすぐに会話が成立し、最後には今度,また是非、ご一緒しましょうね!」的な雰囲気になることがあるのです。親しそうに一緒に店に入ってきてカウンターに座られた二人の女性、当然、お友達どおしだと思いきや、何とエレベーターで乗り合わせただけだった!なんてことも。(プーランクは2階にあります)
男性どうしだと絶対にそうはなりません。基本的に男性が見知らぬ方と隣合わせになった場合、まず、二人の間に「こいつ何で俺の隣に座るんだ?鬱陶しいなあ。」的なオーラがのぼり立ちます。お互い喋りかけたりすることはまずありません。
そこでマスターの出番です。「〇〇さん、こちらの▽▽さんは丸山台に住んでおられてギターの弾き語りをするのが趣味なんですよ。」等と橋渡しをすると二人の間の鬱陶しいオーラはたちまち消えて「そうですか、実は私も長渕剛が好きでして…」ととたんに話が弾みだしたりします。男性と女性の場合だともう少し垣根は低いかもしれません。
どこの店でも同じかもしれませんが、カフェ・プーランクのカウンターに座るお客様どうしは今では殆どが知り合いになっています。
これは、テーブル席だけの店ではあり得ないことで、喫茶営業の大きな醍醐味のひとつといえるのではないでしょうか?
